1979年熊本県議会議員選挙

1979年熊本県議会議員選挙

1979年（昭和54年）4月8日、熊本県の議決機関である熊本県議会の議員全員を改選するための選挙が実施されました。これは、第9回統一地方選挙の前半戦として行われた地方議会議員選挙の一つです。議員の4年の任期満了に伴う選挙であり、1979年3月27日に告示されました。

選挙制度と候補者

当時の熊本県議会の議員定数は56名でした。この選挙に先立ち、国勢調査の結果に基づき、定数配分に一部変更がありました。具体的には、熊本市で1議席が増加する一方、下益城郡で1議席が減少しましたが、県全体の定数56議席に変更はありませんでした。これらの議席が、県内の24選挙区を通じて選出されることとなりました。

この定数56に対し、合計82名の候補者が立候補を届け出ました。全ての選挙区で選挙戦となったわけではなく、24選挙区のうち6選挙区では、候補者数が定数と同数であったため、9名の立候補者が無投票で当選しました。これにより、選挙戦が実際に行われたのは残る18選挙区となり、これらの選挙区では73名の候補者によって議席が争われました。

選挙運動の公営化

この1979年の県議会議員選挙は、熊本県において選挙運動のあり方が変化する契機ともなりました。特に、候補者の選挙用ポスターを掲示するための「ポスター掲示板」が初めて設置されたことが挙げられます。これは、選挙運動の一部を公的に行う「公営化」に向けた、最初期の取り組みとして注目されます。

選挙結果

選挙の結果、県議会の勢力図に変化が見られました。

与党である自由民主党は、議会内の多数派を維持しましたが、現職候補者のうち7名が落選するという、党にとっては厳しい側面も伴う結果となりました。しかし、選挙後に当選した無所属議員のうち10名中8名が同年12月までに自民党に入党したことで、最終的に県議会における自民党の絶対多数の地位は保たれる形となりました。

一方で、既存の政党勢力に加えて、新たな党派が県議会に議席を獲得しました。これまで熊本県議会に議席を持たなかった民社党と新自由クラブが、この選挙でそれぞれ初めて当選者を出しました。これは、県議会において、より多様な政党が議席を持つ「多党化」の傾向が進んでいることを示す結果となりました。

最終的な議席構成は、自民党、社会党、公明党、共産党、新自由クラブ、民社党、無所属の各党派・議員によって占められました。

参考文献

熊本県議会事務局 編『熊本県議会史 第八巻』熊本県議会、2017年。
熊本県選挙管理委員会『熊本県の選挙50年の歩み』熊本県選挙管理委員会、1999年。

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