1980年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ

1980年、メジャーリーグベースボールのポストシーズンは10月7日に開幕しました。ナショナルリーグ優勝決定シリーズでは、フィラデルフィア・フィリーズとヒューストン・アストロズが激突。レギュラーシーズンではフィリーズがアストロズに大きく勝ち越していましたが、ポストシーズンは予想をはるかに超える接戦となりました。

アストロズにとって、このシリーズは球団創設以来初めてのポストシーズン進出。対するフィリーズは3年連続のリーグ優勝決定シリーズ出場ながら、未だワールドシリーズ進出を果たせていませんでした。シリーズは、両チームの執念がぶつかり合う、手に汗握る展開となりました。

第1戦は、フィリーズの本拠地ベテランズ・スタジアムで開催。アストロズは3回に1点を先制するも、フィリーズは6回にルジンスキーの逆転2ラン、7回にはグロス適時打でリードを広げ、3-1で勝利しました。フィリーズの本拠地でのポストシーズン勝利は65年ぶりでした。

続く第2戦も、ベテランズ・スタジアムで行われました。シーソーゲームとなり、延長10回にアストロズが4点を奪い、勝利しました。この試合は、両チームの執拗な攻防が最後まで続いた、手に汗握る展開でした。

第3戦はアストロズの本拠地アストロドームへ場所を移しました。投手戦となり、延長11回にアストロズがサヨナラ勝ち。ポストシーズン史上初の犠牲フライのみによる1-0での勝利でした。この試合では、アストロズのセデーニョが負傷退場するアクシデントもありました。

第4戦もアストロドームで開催されました。この試合は、4回表の判定を巡り、両チームがリーグへの提訴を表明する騒動がありました。試合は延長戦にまでもつれ込み、フィリーズが劇的な逆転勝利を収め、シリーズは2勝2敗のタイとなりました。この試合は、カレッジフットボールの試合との兼ね合いもあり、非常に遅くまで行われました。

そして運命の第5戦。アストロズはライアン、フィリーズは新人バイストロムを先発に起用しました。試合は、終盤までシーソーゲームが続き、延長10回にフィリーズがマドックスの適時打で勝ち越し、最後はルースベンが締めて勝利しました。フィリーズは30年ぶり3度目のリーグ優勝、そしてワールドシリーズ進出を果たしました。

このシリーズは、10回の同点、4回の延長戦と、ポストシーズン史上最多を記録するほど白熱した戦いでした。特にアストロズは、4回と5回にも勝利まであとアウト6つというところまで追い詰めるも、フィリーズの粘り強い戦いの前に敗れました。1勝2敗と劣勢から逆転シリーズ勝利は、ヤンキース以来史上2例目という快挙でした。

シリーズMVPには、5試合で打率.381、4打点、OPS.935と活躍したトリーヨが選ばれました。フィリーズはその後、ワールドシリーズでも勝利し、球団創設98年目で悲願の優勝を達成しました。このナショナルリーグ優勝決定シリーズは、数々のドラマと記憶に残る名勝負として、野球史に刻まれました。 数々の劇的な展開、接戦、そして両チームの執念がぶつかり合ったこのシリーズは、多くのファンに感動と興奮を与え、長く語り継がれる名勝負となりました。 特に、延長戦でのサヨナラ勝ちや、判定をめぐる騒動なども含め、その緊迫感とドラマ性は他のシリーズを圧倒するものでした。 このシリーズの興奮と感動は、多くの野球ファンの記憶に深く刻み込まれていることでしょう。そして、この勝利はフィリーズにとって、ワールドシリーズ制覇への大きな弾みとなったのです。

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