1981年のバレーボール

1981年（昭和56年）は、世界のそして日本のバレーボール界において、いくつかの重要な出来事があった年として記録されています。

この年には、スペインにプロバレーボールクラブ「CVテネリフェ」が誕生しました。このクラブは後に欧州の舞台で大きな成功を収めることになります。

国内においては、未来のスターを育む礎となる画期的な出来事がありました。それは、「第一回全日本バレーボール小学生大会」が開催されたことです。この大会は、それまで十分な全国規模の大会が少なかった小学生年代に、大きな目標と交流の機会を提供し、以降のバレーボール普及・発展に欠かせない存在となっていきます。

国際大会に目を向けると、バレーボールの主要な舞台であるワールドカップが開催されました。男子大会では、当時の強豪ソビエト連邦が全勝の圧倒的な強さで金メダルを獲得し、キューバが銀メダル、ブラジルが銅メダルに輝きました。女子大会では、中国が歴史上初めてワールドカップを制覇し、新たな時代の到来を予感させました。日本は決勝で中国に敗れたものの銀メダルを獲得し、地元開催で意地を見せました。銅メダルはソビエト連邦でした。

欧州選手権もこの年に行われ、男子はソビエト連邦が優勝、ポーランドが準優勝、ブルガリアが3位という結果でした。女子はブルガリアが自国開催で初優勝を飾り、ソビエト連邦が2位、ハンガリーが3位となりました。

日本の国内リーグ戦である第14回日本リーグでは、男子は新日本製鉄が14戦全勝という圧倒的な成績で優勝を飾りました。2位は富士フイルム、3位は専売広島でした。男子の最優秀選手（MVP）には田中幹保選手が選ばれています。女子はユニチカが優勝し、2位に東洋紡、3位に日立が入りました。女子のMVPはユニチカの横山樹理選手でした。

また、社会人チームの日本一を決める第30回全日本都市対抗バレーボール大会では、男子は松下電器が頂点に立ち、日本鋼管が準優勝、新日鉄と富士フイルムが3位タイとなりました。男子の黒鷲賞（MVPに相当）は松下電器の藤田幸光選手に贈られています。女子はユニチカが優勝、東洋紡が準優勝、日本電気と日立が3位タイとなり、ユニチカの小川かず子選手が黒鷲賞を獲得しました。

この1981年には、将来国内外で活躍することになる多くのバレーボール選手たちが生を受けています。例えば、後のイタリアセリエAや国際大会で活躍するムリーロ・エンドレス（ブラジル）やエマヌエーレ・ビラレッリ（イタリア）、北京オリンピックで金メダルを獲得した中国の趙蕊蕊、ポーランド代表として活躍したミカル・ラスコなど、錚々たる顔ぶれがこの年に誕生しました。日本国内でも、男子の阿部裕太選手や松本慶彦選手、女子の庄司夕起選手や横山雅美選手など、後に日本代表や国内トップリーグでチームを牽引する選手たちが生まれています。

このように、1981年は新たなチームの設立、基礎的な大会の開始、国際舞台での勢力図の変化、そして将来を担う選手の誕生など、バレーボール界が未来へ向かう節目となった一年と言えるでしょう。

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