1981年のラジオ (日本)

1981年、日本のラジオ界は大きな活気に包まれた一年でした。新たな放送ネットワークの誕生、リスナーの支持を得る多彩な新番組の登場、そして放送開始から30周年を迎える民放局の記念企画など、ラジオ文化が多様化し、その後の時代へつながる重要な出来事が数多く見られました。

放送界の組織的変化

この年の特筆すべき出来事の一つは、全国FM放送協議会（JFN）の発足です。5月20日に設立されたJFNは、全国のFM放送局間の連携を強化し、ネットワークによる番組供給など、FM放送の発展に向けた基盤整備を担いました。これにより、FM放送はより広域的な展開を可能にしました。また、放送局自身の動きとして、10月1日にはラジオ関東がアール・エフ・ラジオ日本へと商号を変更しています。

節目を飾る特別番組

1981年は、多くの民放ラジオ局が放送開始から30周年を迎えた記念すべき年でした。これを祝う特別番組が各局で企画されました。
MBSラジオは8月末から9月にかけて「ありがとうラジオとともに30年」を放送。アール・エフ・ラジオ日本も10月1日に「決定的瞬間!ラジオ日本誕生」を編成。さらに、10月25日には民放AM全社共同企画「民放30周年"スーパースターベスト10"」が放送され、全国のリスナーを巻き込みました。年末にかけても、信越放送が11月7日・8日に「ラジソン いきいきラジオ30時間大行進」、TBSラジオが12月25日・26日に「ラジオは今働き盛り」を放送するなど、長時間の記念特番を通じてラジオの魅力を伝えました。

新しい声、多様な番組の誕生

1981年は、後のラジオ界に大きな影響を与える新番組が多数スタートした年でもあります。年明けの1月には、ニッポン放送で「ビートたけしのオールナイトニッポン」が放送を開始。深夜ラジオに新たな風を吹き込みました。ラジオたんぱでは「夕刊です」がスタート。

春の4月改編期は特に多くの新番組が登場。TBSラジオでは、長寿番組となる「ラジオ図書館」（4月6日）や、深夜の人気番組「ラジオはアメリカン」（4月12日）がスタート。文化放送ではアニメ情報番組「アニメNOW!」や「コスモポリタン・アイ」（4月6日）が、ニッポン放送では「松田聖子 夢で逢えたら」（4月12日）などが開始。STVラジオの「アタックヤング」シリーズには春日和彦、五十嵐浩晃、鈴木一平が加わりました。東海ラジオは「週刊ラジオアニメック」、近畿放送は「ハイヤングKYOTO」第一期を開始するなど、若者向けや特定ジャンルを意識した編成が進みました。

秋の10月改編期も注目すべき番組が多数登場。文化放送では、後に長寿番組となる「さだまさしのセイ!ヤング」（10月10日）や「ミスDJリクエストパレード」がスタート。TBSラジオでは「The Radio お元気ですか土居まさるです」（10月5日）が始まりました。ニッポン放送では「アイドルスタースペシャル」（10月5日）や阿呆鳥の「オールナイトニッポン」（10月6日）などが開始。民放AM各局で放送された「阿川泰子のトゥナイト」のような全国ネット企画も展開されました。

その他の時期にも新番組は生まれました。エフエム東京は5月に「FM STATION my sound graffiti」を開始。毎日放送は7月に「ホットラインMBS」、9月に「こちらベスト歌謡曲」を開始。ラジオ関西も8月に「神戸からこんにちは」を開始するなど、各局が独自色を打ち出しました。

一方で、秋田放送の「ラジオプラザ午前9時」のように、長く親しまれた番組が終了を迎える動きもありました（3月）。

1981年が残したもの

1981年は、FMネットワークの整備と、AM・FM各局における番組内容の多様化が同時に進行した、日本のラジオ放送史において重要な年でした。深夜放送でのタレント主導型番組の台頭、アニメや若者文化といった当時のトレンドを取り込む柔軟な編成、そして民放全体の節目を祝う全国規模の企画など、この年に見られた様々な動きは、その後の日本のラジオ放送の方向性を決定づける重要な要素となりました。この年に生まれた活力と変化が、次世代のラジオ文化へと確かにつながっていったのです。

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