1986年の日本

1986年の日本：バブル景気と新時代の幕開け

1986年（昭和61年）は、日本において高度経済成長の延長線上にあるバブル景気の始まりと、社会の大きな変化が象徴的に表れた年でした。この年、経済は好調を続け、のちに「バブル景気」と呼ばれる、戦後二番目に長い好景気が幕を開けました。しかし、その一方で、社会問題や文化的な変遷も複雑に絡み合い、現代社会につながる様々な要素が生まれた年でもありました。

政治と社会情勢

この年の日本は、中曽根康弘内閣のもと、自由民主党が政権を握っていました。7月には衆参同日選挙が行われ、自民党が圧勝しました。この選挙結果を受けて、同年7月22日には第3次中曽根内閣が発足しました。一方、この年の世相を語る上で重要な出来事として、中野富士見中学いじめ自殺事件があります。男子中学生の自殺をきっかけに、悲惨な学校におけるいじめ問題の実態が社会に衝撃を与え、大きな議論を呼び起こしました。この事件は、日本の教育制度や学校環境の見直しを促す契機となりました。

経済

前述の通り、1986年はバブル景気の始まりであり、土地や株価の高騰が顕著になったのはこの年からでした。この経済状況を反映して、大手企業によるCI導入(コーポレート・アイデンティティ)も相次ぎました。アサヒビール（当時朝日麦酒）、フジサンケイグループ、象印マホービン、森永製菓、コナミ、三洋電機などがCI導入を行っています。これらの動きは、企業イメージの刷新とグローバル化への意識の高まりを示すものです。

文化と流行

1986年は、多様な文化が花開いた時代でもありました。春にはハレー彗星が地球に最接近し、多くの人々の注目を集めました。また、おニャン子クラブなどのアイドルグループの人気が爆発、空前の「猫ブーム」が到来しました。ファッションでは、イギリスのダイアナ妃を模した「ダイアナファッション」や「ボディコン」が流行しました。

ゲーム業界では、エニックス（後のスクウェア・エニックス）が発売したファミリーコンピュータ用ゲームソフト『ドラゴンクエスト』が社会現象を巻き起こしました。このゲームは、日本のロールプレイングゲーム（RPG）の歴史に大きな影響を与え、後続の多くの作品に影響を与えています。

さらに、富士フイルムの『写ルンです』やサントリーの『モルツ』といった商品もヒット商品となり、長年にわたるロングセラーを記録しました。これらのヒット商品は、消費者の嗜好の変化や市場の動向を如実に示すものです。

その他の出来事

この年には、様々な分野で注目すべき出来事が発生しました。

上野動物園でジャイアントパンダのトントンが誕生し、話題となりました。
青函トンネルの本州と北海道が貫通しました。
男女雇用機会均等法が施行されました。
東京ディズニーランドに新アトラクション「シンデレラ城ミステリーツアー」が開業しました。
第12回先進国首脳会議（東京サミット）が開催されました。
日本テレビの人気刑事ドラマ『太陽にほえろ！』が終了しました。
多くの雑誌が創刊・廃刊されました。
音楽シーンでは、様々なアーティストがヒット曲を連発し、音楽チャートを賑わせました。

まとめ

1986年の日本は、経済の好調と社会問題、そして多様な文化が複雑に絡み合った時代でした。バブル景気到来、社会問題の顕在化、そして新しい文化の台頭など、様々な出来事が現代日本の礎を築き、多様な価値観が共存する現代社会へとつながっています。この年を理解することは、現代社会を読み解く上で重要な鍵となるでしょう。 様々な分野の出来事を詳細に検討することで、1986年の日本社会の全体像をより明確に把握できるでしょう。

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