1986年の近鉄バファローズ

1986年の近鉄バファローズのシーズン回顧

1986年、近鉄バファローズは岡本伊三美監督の3年目を迎えた。このシーズン、岡本監督は若手選手の起用に限界を感じ、新たな選手の獲得に動き出す。特に、彼の古巣である南海から新井宏昌を、また巨人からは有田修三をトレードで放出し、淡口憲治を獲得する決断をした。これにより、チームの戦力は新たな方向性を見出すこととなった。

捕手陣でも変化が見られ、長年チームの正捕手であった梨田昌孝の衰えが明らかになる中、若手の山下和彦が開幕からマスクをかぶって起用された。さらに、長く二軍生活を送っていた古久保健二や光山英和も出場機会を増やし、1989年の優勝メンバーが少しずつ顔を出すようになった。

投手陣においては、2連覇メンバーである太田幸司や井本隆、鈴木啓示らが相次いで引退、また移籍していった。その中でも、小野和義は3年目のシーズンに入り、開幕からローテーションの一角として村田辰美と共に14勝を挙げる活躍を見せた。さらに、守護神として石本貴昭が32セーブを記録する健闘を見せた。しかしながら、それ以外のリリーフ投手陣は防御率が3点台後半から4点台に終わり、チーム全体の防御率は4.34でリーグ4位と厳しい数字となった。

打撃陣では、リチャード・デービスが.337という驚くべき高打率を記録し、いてまえ打線を引っ張った。彼は36本塁打と97打点を記録し、リーグ2位となる183本塁打の一翼を担った。また、金村義明も入団5年目で打率.275、23本塁打、67打点と活躍し、羽田耕一に代わって三塁手としてレギュラーに定着した。若手とベテランの融合が図られたチームは、開幕から早い段階で首位を維持していたが、8月以降に投手陣の崩壊が見られた。

その結果、西武ライオンズに追いつかれ、優勝争いは129試合目まで続く激闘となったが、最終的に2位でシーズンを終えた。岡本監督の悲願であるリーグ優勝と日本一の夢は再び遠のくこととなった。

この年の近鉄バファローズは、ファンにとっても記憶に残るシーズンであった。特に、球団史上初となる観客動員100万人（102万8千人）を突破したこともあり、熱心なファンの支えを感じる1年となった。選手たちの頑張りを影で支えるスタッフも存在し、各選手の個人成績も見逃せない。特にオールスターゲームでは、ファン投票により選出された選手たちが活躍し、ファンの心をつかんだ。

1986年の近鉄バファローズは、選手の成長とチームの変革を体現したシーズンとして記憶されるだろう。

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