1989年のル・マン24時間レース

1989年のル・マン24時間レース

1989年度のル・マン24時間レースは、ル・マンの歴史における第57回目の開催となり、フランスのサルト・サーキットで1989年6月10日から11日にかけて行われました。この年のレースは特に注目を集め、数々のドラマが展開されました。

概要

レースは主催者であるフランス西部自動車クラブと国際自動車連盟（FIA）との間でテレビ放映権を巡る対立が表面化し、スポーツカーシリーズから独立した国際格式のレースとして実施されました。また、この年は伝統的なユーノディエールのシケインが取り除かれた状態で行われた最後の年でもあり、特別な意味を持っていました。予選初日に、ジャン＝マリー・バレストルは経費削減を目指してフォーミュラ1と同様の3.5リットルノンターボエンジンの導入を提案しましたが、日産が反論したことで、この変更は見送られることになりました。

グループC1

前年はタイヤトラブルで参加できなかったメルセデス・ベンツが、優勝候補に名を連ねました。監督にはヨッヘン・ニーアパッシュが起用され、強力な体制でレースに挑みました。メルセデスのザウバー・C9は、新しく設計されたDOHCのM119型エンジンを搭載し、軽量化されたボディに改良を加えられましたが、操縦安定性には課題が残りました。

ジャガーは連覇を狙って投入されたXJR-9が注目され、ポルシェはワークス参戦を取りやめ、プライベーターを支援する形で参加しました。一方、日産は新たなシャシを導入し戦力を大幅に強化するも、熟成不足が懸念された。トヨタもV型8気筒ツインターボを開発しましたが、技術的な課題に直面していました。

IMSA GTP

レースに向けて、マツダは前年の経験を生かしパフォーマンスを15%向上させる計画を立てました。改良を重ねたマツダ・767Bが出場し、前年よりも安定した結果を目指しました。

予選

予選は晴天の中で行われ、メルセデス・ベンツが圧倒的な速さで1位を獲得しました。ジャガーも速さを見せるものの、ニッサンはトラブルに見舞われ、トヨタは調子が上がらず厳しい戦いを強いられることとなりました。

決勝

決勝では、大波乱の展開が待ち受けていました。ニッサンやトヨタは次々とリタイアする一方で、メルセデスは順調な走行を続け、最終的に優勝を手にしました。特に第16時間目にはザウバー・C9がトップに立つ見事な走りを見せ、24時間で平均速度219.90km/hを記録。これはメルセデスにとって37年ぶりの勝利となりました。

結果

ジャガーは苦戦しながらも1号車が4位、マツダは全車が完走し7、9、12位に入賞。特にマツダの201号車は368周を走行し、大きな成果を上げることができました。

この1989年のル・マン24時間レースは、技術、戦略、そしてドライバーの能力が試される場となり、多くのドラマと教訓を残すこととなりました。

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