1989年中華民国立法委員増額選挙

1989年中華民国立法委員増額選挙の概要

1989年12月2日、中華民国（台湾）で実施された立法委員増額選挙は、国の政治における重要な出来事でした。この選挙は、1948年の第1回立法委員選挙以来の初の立法委員選挙であり、政府が台湾に移転して以降、初めて行われた立法委員選挙でもあります。

背景

この選挙は、1949年から1987年までの間に施行されていた戒厳令が解除された後、初めての選挙ということが大きな意義を持ちます。「動員戡乱時期における公職人員選挙罷免法」が1980年に改正され、定期的な増額選挙の実施が決定されていました。そのため、1986年に選出された増額委員の任期終了に伴い、次の立法委員を選出することが必要とされました。

さらに、1989年1月には政党結成が自由化されたことに伴い、民主進歩党（民進党）やその他の新政党が50以上も設立され、選挙への参加が可能となりました。この選挙では、民進党など20以上の政党が立候補し、政治における競争が一層激化しました。ただし、共産主義政党の結成は認められていません。

選挙区と選出人数

立法委員は、台湾の各地域から選ばれることになりました。台北市、高雄市と台湾省内の21の県市ごとに選挙区が設定され、各地域から多数の立法委員が選出されました。具体的には、台北市からは12名、高雄市からは8名、台湾省からは合計90名が選出されました。

選出された130名の立法委員の任期は3年で、選挙によっては地域代表、職業代表、そして海外在住の華僑代表も含まれました。選挙制度は、20歳以上の中華民国国籍を持つ有権者を対象に実施され、複数選区単記不可譲渡投票制が採用されました。また、候補者の中には、女性枠を設けたクオータ制も導入されました。

投票結果

1989年12月2日の投票率は75.16%に達し、多くの国民が選挙に参加しました。この選挙では、中国国民党、民主進歩党、中国青年党などの政党が影響力を持ち、選挙結果に大きな影響を与えました。特に、民進党は若い党として初の選挙に挑戦し、成功を収めました。これは、台湾における民主主義の進展を意味する重要なステップとなりました。

効果と影響

1989年中華民国立法委員増額選挙は、台湾における民主化の進展における重要な要素であり、政治的競争を促進し、新しい政党の参加を可能にしました。この選挙を通じて、台湾の政治風景は変わり、国民の声が政策形成に反映されるきっかけとなりました。また、民主的な選挙を実施することで、国の内部における統治の透明性が向上し、国民からの信頼を得るという新たな挑戦も生まれました。

このように1989年の立法委員選挙は、単なる一回の選挙にとどまらず、台湾の民主主義と政治文化の発展において重要な歴史的意義を持っているのです。

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