1990年のドイツツーリングカー選手権

1990年ドイツツーリングカー選手権：アウディの躍進と激闘のシーズン

1990年の[ドイツツーリングカー選手権]は、4月1日のゾルダー・サーキットから10月14日のホッケンハイムリンクまでの全11ラウンド、22レースに渡り開催されました。このシーズンは、アウディのDTM参戦初年度であり、その歴史に大きな転換点を記すこととなる激戦の舞台となりました。

各メーカーの参戦状況とマシンの特徴

BMW: 1990年、BMWは排気量2.5Lに拡大したM3スポーツエボリューションを投入。シュニッツァー、ビガッツィ、ザクスピード、リンダ―の4チームから10台のマシンが参戦しました。タイヤはチームによってヨコハマとピレリが使用されました。シュニッツァーチームのジョニー・チェコットは3勝を挙げ、タイトル争いを最後まで繰り広げました。一方、ビガッツィチームは、ソーパー、ヴィンケルホック、ラフィットといった実力派ドライバーを擁し、計4勝を獲得しました。

メルセデス・ベンツ: メルセデス・ベンツは190E 2.5-16エボリューションI/IIをAMG、スノーベック、MSの3チームから8台エントリー。AMGはメルセデスワークスとして活動し、マシン開発も担当していました。予選では高い速さを見せつけましたが、シーズンを通して1勝にとどまりました。

アウディ: 1990年、アウディは4WDマシン、アウディV8クワトロでDTMに初参戦。4WDによる重量ハンデ（1220kg、後に1300kg）を背負いながらも、SMSチームのハンス＝ヨアヒム・スタックが驚異的な活躍を見せました。シーズン前半に4勝を挙げ、最終戦では連勝を果たし、逆転でドライバーズタイトルを獲得。アウディにとってDTMにおける初のタイトルとなりました。

オペル: オペルはイルムシャーとシューベル・エンジニアリングからオメガ3000/24VとカデットGSi-16Vを投入しましたが、目立った成績は残せませんでした。

その他: プライベートチームがフォード・マスタングやトヨタ・スープラを走らせましたが、上位争いには加われませんでした。

ドライバーたちの活躍

このシーズンは、ベテランドライバーと若手ドライバーが混在し、白熱した戦いを繰り広げました。チェコットの粘り強い走り、ソーパーやヴィンケルホックなどの安定感、そしてスタックの驚異的な走りなど、多くのドライバーが記憶に残る活躍を見せました。特に、スタックは、ハンデを抱えながらも最後まで諦めず、最終戦での逆転劇は、DTM史上に残る名勝負となりました。

スパ24時間レース

1990年から、DTMカーのスパ24時間レースへの出場が認められました。BMWはシュニッツァー、ビガッツィ、リンダ―の3チームから計6台のM3を投入し、シュニッツァーチームが1-2フィニッシュを達成するなど、高い競争力を示しました。

まとめ

1990年のDTMは、アウディの初タイトル獲得、BMWとメルセデスのしのぎを削る争い、そして数々のドラマチックなレース展開など、多くの話題を提供しました。特に、アウディV8クワトロの活躍は、4WDというハンデを克服した偉業として、DTMの歴史に刻まれました。このシーズンは、今後のDTMの競争環境を大きく変える転換期となったと言えるでしょう。様々な困難を乗り越え、栄冠を掴んだドライバー、チームの努力と情熱が凝縮された、記憶に残るシーズンでした。

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