1990年日本グランプリ (4輪)

1990年日本グランプリ

1990年日本グランプリは、1990年F1世界選手権の第15戦として、鈴鹿サーキットで10月21日に開催されました。このレースは、アイルトン・セナとアラン・プロストのドライバーズチャンピオンシップ争いが注目された3度目の鈴鹿対決となりました。セナは選手権ポイントで9点リードしており、逆転を狙うプロストには優勝が求められる状況でした。両者は過去2年間マクラーレンのチームメイトでしたが、プロストがフェラーリに移籍したことで、チーム間の対決という新たな構図が生まれ、さらに興味を引く要因となりました。

代役ドライバーの台頭

日本GPを前にして、前年の優勝者アレッサンドロ・ナニーニがヘリコプター事故によって右手首を切断するという衝撃的な出来事が発生しました。その影響を受けて、ベネトンは代役としてロベルト・モレノを起用することを発表しました。また、スペインGPで重傷を負ったマーティン・ドネリーの代役として、ジョニー・ハーバートがロータスに加わることになりました。さらにミナルディでは、パオロ・バリッラに代わり、フェラーリのテストドライバーであるジャンニ・モルビデリが起用されました。

予選の混乱

予選においては、ユーロブルンとライフが撤退したため、予備予選は行われず、予選に臨むことになりました。初日は滑りやすい路面により、スピンやクラッシュが相次ぎましたが、予選第1セッションではゲルハルト・ベルガーが暫定ポールポジションを獲得しました。2日目にはコース状況が改善され、セナが予選でコースレコードを更新し、3年連続のポールポジションを獲得。しかし、スタート位置はイン側で、セナの希望通りにはなりませんでした。

決勝レースの波乱

決勝に向けたドライバーズミーティングでは、過去の事件を振り返る中で、ネルソン・ピケがシケインにおける安全対策を提言しましたが、セナは過去の失格処分を思い出し感情を高ぶらせた。決勝日は晴天に恵まれ、14万人の観客が見守る中でスタートしました。プロストが好スタートを切るも、セナとの接触により両者はサンドトラップに突っ込み、セナの2度目のタイトル獲得が早くも決まってしまいました。レースはその後、ネルソン・マンセルがトップに立つものの、ベネトンのピケとロベルト・モレノが続き、波乱の展開を見せました。

日本人ドライバーの活躍

スタートの混乱の後、鈴木亜久里が素晴らしい走りを見せ、地元レースで日本人として初めてのF1表彰台に立ちました。彼はレース中、鈴鹿の観客からの応援を受け、感涙にむせびました。一方、中嶋悟も健闘を見せ、6位入賞を果たしました。最終的に、ネールソン・ピケが優勝し、モレノが2位に入るという驚きの結果でレースが終了しました。

このグランプリは、セナとプロストの技術的対決が影を落としつつも、日本人ドライバーの活躍で新たな歴史が刻まれた記念すべきレースとして記憶されています。

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