ユーロブルン

ユーロブルン：短命に終わったF1チームの物語

1988年から1990年という短い期間、F1世界選手権の舞台を沸かせたユーロブルン・レーシング。イタリア・ミラノ県セナーゴに拠点を置くこのチームは、アルファロメオF1チーム運営に携わったジャンパオロ・パバネロ率いるユーロレーシングと、ル・マン24時間レースで実績を持つウォルター・ブルン率いるブルン・モータースポーツのジョイントによって誕生しました。チーム名は両者の名前を組み合わせたもの。

1988年：F1デビューとまずまずの成績

1988年のデビューシーズン、ユーロブルンはグッドイヤータイヤ、フォード・コスワースDFZ V8エンジン、そしてマリオ・トレンティーノとブルーノ・ザーバが設計したER188マシンで戦いを挑みました。ドライバーには、1987年の国際F3000チャンピオンであるステファノ・モデナと、ヨーロッパF3チャンピオンのオスカー・ララウリという強力な布陣を敷きました。

資金不足という厳しい状況の中、安定したマシン性能を武器に、モデナは9回、ララウリは8回決勝進出を果たし、7回の完走というまずまずの結果を残しました。最高位は11位。シーズン終盤には、日本のアパレルブランド「M505」をメインスポンサーに迎え、そのカラーリングをまとってレースに挑みました。

1989年：苦戦とスポンサー変更

2年目の1989年は、タイヤをピレリに変更し、エンジンもジャッドへと変更しました。ドライバーには、グレガー・フォイテクを起用。しかし、開幕戦を除き予備予選落ちが続き苦戦を強いられました。第9戦ドイツGPで新型マシンER189を投入し、リキュールメーカー「イエーガーマイスター」をメインスポンサーに迎えましたが、状況は改善せず、フォイテクは第11戦ベルギーGPを最後にチームを離脱しました。

その後、ララウリが再びチームに加わりましたが、「イエーガーマイスター」のスポンサー撤退を受け、新たな日本のスポンサー「アルファ」を獲得しました。しかしながら、1度も決勝に進出できず、シーズンは最悪の結果に終わりました。

1990年：資金難とチーム消滅

1990年には、コローニから移籍してきたロベルト・モレノと、クラウディオ・ランジェスがチームに加わりました。開幕戦アメリカGPではモレノが予備予選トップ通過を果たし、決勝も完走。序盤戦は予備予選を通過していましたが、中盤戦以降は予備予選落ちが続き、決勝進出は2回のみとなりました。一方ランジェスは、14戦連続予備予選落ちという厳しい結果に終わりました。

深刻化する資金難は、ついにシーズン終盤の日本GPとオーストラリアGPへの遠征費用を捻出できない事態を招き、チームはF1からの撤退を余儀なくされました。ユーロブルンは、その歴史に幕を閉じました。

皮肉にも、チーム消滅によってシートを失ったモレノは、ベネトンのアレッサンドロ・ナニーニの事故による欠場を受け、ベネトンに加入。日本GPではネルソン・ピケと共に1-2フィニッシュを達成することとなります。

ユーロブルンで使用されたマシンとエンジン

ユーロブルンは、ER188、ER188B、ER189、ER189Bという4種類のマシンを使用。エンジンは、フォード・コスワースDFZとジャッドCVのV型8気筒エンジンを搭載しました。

ユーロブルンに在籍したドライバーたち

ユーロブルンには、オスカー・ララウリ、ステファノ・モデナ、グレガー・フォイテク、ロベルト・モレノ、クラウディオ・ランジェスという、個性豊かなドライバーたちが在籍していました。それぞれのドライバーは、ユーロブルンの短くも激しい歴史の一部を担いました。

ユーロブルンは、資金難や様々な困難に直面しながらも、F1の歴史に短いながらも鮮やかな軌跡を残しました。彼らの挑戦は、今もなおF1ファンの記憶に刻まれています。

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