1990年7月22日の日食

1990年7月22日の日食

この日食は、1990年7月22日に地球上で観測された天体現象です。太陽が月によって完全に隠される皆既日食は限られた地域で見られましたが、太陽の一部だけが隠される部分日食は非常に広い範囲に及びました。

皆既日食が見られた地域

皆既帯は以下の地域を通過し、太陽が完全に隠されるドラマチックな光景が観測されました。

フィンランド南部: 首都ヘルシンキを含む地域。
ソビエト連邦北部: 現在のエストニアの首都タリン近郊のごく一部（ハリュ県北部）や、ロシアの北極海沿岸地域。
アメリカ合衆国アラスカ州: アンドリアノフ諸島東部やアムクタ島といったアリューシャン列島の一部離島。

これらの地域では、太陽が完全に月に覆い隠され、周囲が薄明かりとなり、普段は見ることのできない太陽のコロナが現れました。観測された現地時間は、フィンランドやソ連では7月22日でしたが、日付変更線を跨ぐアラスカ州では7月21日となりました。

部分日食が見られた広範囲の地域

皆既日食は見られなかったものの、月が太陽の一部を隠す部分日食は、以下の非常に広範な地域で観測されました。

ヨーロッパ: ノルウェーやスウェーデンの大部分、フィンランド全土、ポーランド北東端。
アジア: ソ連のほぼ全域（南西部を除く）、西アジアの北東部、南アジアの北西部、中国北部、モンゴル全域、朝鮮半島の中北部、日本の本州北部・北海道。
北アメリカ: アメリカ合衆国アラスカ州全域、カナダの中西部、アメリカ本土の北西部。
その他: デンマーク領グリーンランドの中北部、ミクロネシアの北東部、ポリネシアの北部。

これらの地域では、太陽の一部が欠けた形で観測されました。部分日食の観測日時は地域によって異なり、ヨーロッパやアジアの多くの地域では主に7月22日に見えましたが、北アメリカでは主に7月21日となりました。また、北極圏に近いグリーンランドなど、白夜が観測される地域では、深夜帯を含む7月21日から7月22日にかけて日食が継続して観測された場所もありました。

科学的な観測の試み

この日食に合わせて、いくつかの科学的な観測が試みられました。

フィンランドでの重力測定: フィンランド測地研究所は、首都ヘルシンキにおいて、皆既日食中の重力変化を調べるため、絶対重力計を用いた52時間にわたる連続測定を実施しました。この研究では、特段の異常な重力変化は検出されませんでした。

* ソビエト連邦での太陽コロナ観測: 現在のロシア科学アカデミーの前身であるソ連科学アカデミーの観測隊は、アルハンゲリスク州のソロヴェツキー諸島で皆既日食の観測を計画していました。彼らは異なる露出で太陽コロナを撮影し、日食の様子をビデオ記録する準備を進めていましたが、残念ながら日食当日の朝は厚い雲に覆われ、午前中を通して霧雨が降り続いたため、観測は成功しませんでした。

これらの観測の試みは、日食という現象がもたらす可能性のある物理的な影響や、太陽大気であるコロナの詳細を研究する貴重な機会でしたが、特にソ連での計画は天候により阻まれる結果となりました。

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