1991年ロシア大統領選挙

1991年ロシア大統領選挙の概要と影響

1991年6月12日、ソビエト連邦のロシア連邦共和国において、歴史に名を刻む大統領選挙が行われました。この選挙は、ロシアの歴史の中で初めて国民による直接投票で実施されたもので、その結果としてボリス・エリツィンが58.6％という圧倒的な得票率を記録し、2位以下の候補者に大差をつけて勝利を収めました。

選挙の進行過程

エリツィンの選挙活動は、副大統領候補にアフガニスタン戦争の英雄として知られるアレクサンドル・ルツコイを選出したことが特徴でした。ルツコイの存在は、急進的な改革を目指すエリツィンにとって重要な安定要素となり、彼の選挙戦を支える役割を果たしました。集票活動を通じてエリツィン陣営の信頼性を高め、国民の支持を獲得する助けとなったのです。

一方で、ソ連共産党の保守派は、ニコライ・ルイシコフ元首相を擁立しましたが、選挙戦ではエリツィンには及ばず、最終的に惨敗を喫しました。さらに、ミハイル・ゴルバチョフの指導のもと、穏健改革派のワジム・バカーチンも出馬しましたが、彼は他候補者の中で最下位となり、ゴルバチョフの権威にも影を落とす結果となりました。これにより、ルイシコフとバカーチンは合わせてわずか20％の支持を集めるにとどまり、後に彼らの敗北が保守派の8月クーデターの引き金となるのです。

注目の候補者とその影響

エリツィンとルイシコフに続き、ソビエト連邦自由民主党のウラジーミル・ジリノフスキーが第三位に入るという意外な展開もありました。ジリノフスキーは、その過激な極右的見解で広範な支持者を獲得し、一時的に注目を集めました。彼の政党はその後1993年のロシア連邦議会選挙で成功を収め、第一党に躍進するものの、1995年の下院選挙では人気が低下し、1996年の大統領選挙では惨敗を喫しました。

この選挙は、エリツィンの勝利によって新しい政治の礎が築かれる一方、ロシア国内での政治的対立を深める要因ともなりました。エリツィンが大勝したことで、彼の改革政策への期待が一層高まりましたが、その後の政情は常に揺れ動くものでした。特に、保守派と進歩派との間には激しい緊張が生まれ、この戦いは長期にわたる政治的混乱を生むことになります。

結論

1991年のロシア大統領選挙は、国家の運命を大きく左右した歴史的瞬間であり、ボリス・エリツィンの圧勝は国民に新たな希望をもたらしました。しかし、その影響は選挙後も続き、様々な政治的対立と変革へと繋がっていくことになります。この選挙は、ロシアの未来を見据えた重要な分岐点として記憶されることでしょう。

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