1993年カナダ総選挙

1993年カナダ連邦選挙の概要

1993年10月25日に行われたカナダ連邦総選挙は、下院の295議席を14の政党が争うという形で行われました。この選挙はカナダの歴史において異例な波乱を含んだもので、約半数の有権者が1988年の選挙から支持政党を変更したことで注目されました。結果として、ジャン・クレティエン率いる自由党が圧倒的多数を得て、次期政府を形成することとなりました。

選挙結果の詳細とその影響

カナダ進歩保守党（以下、進歩保守党）は、わずか2議席を残し、156議席中154を失うという深刻な敗北を喫しました。これは連邦政権において、特に西欧諸国の中でも最悪の結果です。この選挙では、ブロック・ケベコワやカナダ改革党といった新しい政党が急進展を遂げ、進歩保守党の支持基盤を侵食しました。

ブロック・ケベコワはケベック州で過半数の得票を得て、公式野党としての地位を確立しました。一方、カナダ改革党は、マニトバ州より東での議席獲得はわずか1つでしたが、その運動は多くの支持者を集めました。伝統的な第三党である新民主党は前回の選挙での健闘から一転し、議席数を9に減少させ、党史上最低の得票数を記録しました。

この選挙の背後には、ブライアン・マルルーニー首相の進歩保守党による9年の政権運営に対する評価があり、高額な財政赤字や高失業率が主要な争点となっていました。選挙直前の世論調査では、進歩保守党の支持率は17％に対し、野党の自由党は43％の支持を得ていました。結果、自由党は295議席中178議席を獲得し、政権を9年ぶりに奪回しました。

選挙運動の分析

選挙運動は、各政党が異なるアプローチを取った中で展開されました。自由党は「Red Book」と呼ばれる公約集を発表し、進歩保守党よりも整然とした運動を展開しました。対して進歩保守党のキャンペーンは混乱し、組織的な問題に直面しました。

特に、進歩保守党は選挙運動の中でクレティエンを攻撃する広告を打ち出しましたが、その内容が多くの有権者に不快感を与え、批判を招く結果となりました。それに対してクレティエンは、自らの特徴を逆手に取ることで支持率を上昇させました。

終わりに

1993年カナダ連邦選挙は、報道や分析の中で「政党の台頭と衰退」を象徴する選挙として位置付けられています。特に、伝統的な二大政党制が崩壊し、新たな地域政党の台頭が見られたことは、カナダ政界における重要な転換点となりました。また、当選した日系カナダ人のアーサー・ミキがカナダ史上初の日系庶民院議員となったことも、この選挙の大きな出来事のひとつです。

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