1993年フランス議会総選挙

1993年フランス議会総選挙：社会主義政権の崩壊と右派の躍進

1993年3月に行われたフランス議会総選挙は、フランス第五共和政において大きな転換点となりました。社会党政権の失墜と、中道右派の圧倒的な勝利によって、フランス政治の勢力図は大きく塗り替えられました。本稿では、この選挙の背景、選挙制度、結果、そしてその後の影響について詳細に解説します。

選挙の背景

当時、フランスは社会党のピエール・ベレゴ首相率いる政権下におかれましたが、経済不況や社会不安の高まりにより、支持率は低迷していました。特に、高失業率は社会問題として深刻化し、国民の不満は高まっていました。こうした状況の中、国民議会選挙が実施されることとなりました。

選挙制度

選挙制度は小選挙区制の二回投票制でした。定数は577議席（フランス本土555議席、海外領土22議席）。有権者は満18歳以上のフランス国民で、被選挙権は満23歳以上のフランス国民に与えられていました。

第一回投票では、有効投票の過半数を獲得し、かつ有権者数の4分の1以上の得票を得た候補者が当選しました。過半数に達する候補者がいない場合は、上位数名が対象となる第二回投票が行われました。第二回投票では、第一回投票で12.5%以上の得票を得た候補者、または上位二名が立候補し、最多得票を得た候補者が当選しました。

選挙結果

選挙は、3月21日に行われた第一回投票と、3月28日に行われた第二回投票の二回にわたって行われました。第一回投票の投票率は68.92%（26,860,177名）、第二回投票の投票率は67.51%（22,802,301名）でした。

結果、社会党は壊滅的な敗北を喫し、議席数を大幅に減らしました。一方、中道右派である国民連合（国民戦線の前身）や共和党などは、議席数を大幅に増やし、国民議会で圧倒的な多数派を形成しました。

この選挙の結果、社会党政権は崩壊し、エドゥアール・バラデュール首相率いる中道右派政権が誕生しました。

選挙結果の分析

この選挙結果は、社会党政権の政策に対する国民の不満、そして中道右派の巧みな選挙戦略の両方が影響していると考えられます。経済不況や高失業率に対する社会党の対応への批判は、国民の支持を中道右派へと傾けました。また、中道右派は、国民の不安や不満を巧みに利用し、支持基盤の拡大に成功しました。

まとめ

1993年フランス議会総選挙は、フランス政治史における大きな転換点となりました。社会党政権の失墜と中道右派の躍進は、フランス政治の勢力図を大きく変え、その後のフランス政治に大きな影響を与えました。この選挙は、単なる政権交代にとどまらず、フランス社会の変容を反映した歴史的な出来事であったと言えるでしょう。今後のフランス政治を分析する上で、この選挙を理解することは不可欠です。

参考文献

FRANCE Parliamentary Chamber: Assembl? nationale ELECTIONS HELD IN 1993（列国議会同盟ホームページ）
中村勝範編『主要国政治システム概論　改訂版』（慶應義塾大学出版会）

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