1993年NFLワイルドカードプレーオフ バッファロー・ビルズ対ヒューストン・オイラーズ

NFL史に残る大逆転劇：1993年ビルズ対オイラーズ

1993年1月3日、NFLの歴史に深く刻まれた試合、バッファロー・ビルズ対ヒューストン・オイラーズ（現テネシー・タイタンズ）のワイルドカードプレーオフが行われました。この試合は、32点差というNFL史上最大得点差からの大逆転劇として、「The Comeback（逆転）」の名で知られています。

試合前の状況

過去2シーズンで13勝3敗という好成績を収め、AFCチャンピオンとしてスーパーボウルに出場したビルズでしたが、このシーズンは開幕から好調だったものの、その後失速。最終的に11勝5敗でAFC東地区2位となりました。一方、オイラーズは10勝6敗でAFC中地区2位となり、6シーズン連続のプレーオフ出場を決めました。

レギュラーシーズン最終戦では、オイラーズがビルズを27-3で破っています。しかし、この試合でビルズのQBジム・ケリーが膝を負傷し、フランク・ライクが代役を務めることになりました。そして、ワイルドカードプレーオフでは、ビルズの本拠地で両チームが再び対戦することになったのです。

前半：オイラーズの圧倒的な支配

試合当日、ビルズはQBケリーを欠き、ライクが先発。さらに、エースRBサーマン・トーマスが負傷するという苦しい状況でした。前半はオイラーズが圧倒的な力を見せつけます。QBウォーレン・ムーンはパスを次々と成功させ、4つのタッチダウンパスを決め、前半を28-3と大きくリードして終えました。後半開始早々にもオイラーズがタッチダウンを決め、35-3と32点差となり、多くの観客がビルズの敗北を確信し、スタジアムを後にしました。

後半：奇跡の逆転劇

しかし、ここからビルズの反撃が始まります。まずは、キックオフのミスから攻撃権を得たビルズがタッチダウンを奪い、35-10。さらに、オンサイドキックを成功させ、再び攻撃権を得ると、TDパスで35-17と追い上げます。その後も、インターセプトからチャンスを活かし、TDパスを連発。第3クォーターだけで28点を奪い、35-31と4点差まで詰め寄りました。

第4クォーターに入り、オイラーズがFGを狙うも失敗。ビルズは、残り時間3分でTDパスを成功させ、ついに38-35と逆転に成功します。しかし、オイラーズも意地を見せ、FGを決めて同点に。試合はオーバータイムに突入しました。

オーバータイム：劇的な幕切れ

オーバータイムでは、コイントスに勝ったオイラーズが攻撃権を得ましたが、ムーンのパスをビルズがインターセプト。敵陣20ヤードからの攻撃権を得たビルズは、最後はキッカーのスティーブ・クリスティがFGを決め、41-38で劇的な勝利を飾りました。

試合後

32点差からの大逆転劇は、NFL史に残る伝説的な試合として語り継がれています。この試合で使用されたクリスティのシューズは、プロフットボール殿堂に展示されています。

この試合後、オイラーズのディフェンスコーディネーターは解雇されました。一方、ビルズはこの勢いのままプレーオフを勝ち進み、スーパーボウルに出場しましたが、ダラス・カウボーイズに敗れました。

この試合は、決して諦めないというスポーツ精神を体現した、記憶に残る一戦として、多くの人々に感動を与え続けています。

もう一度検索