1995年の航空

1995年の航空

1995年は、軍事から民間、技術開発から記録への挑戦まで、航空の歴史において多様な出来事が展開された年でした。

軍事面では、南米で発生したセネパ戦争において、ペルー軍とエクアドル軍がヘリコプターを地上攻撃に投入し、その後の空戦では固定翼機による撃墜事例も発生しました。具体的には、ペルー軍のスホーイSu-22MやセスナA37Bが、エクアドル空軍のミラージュF.1JAやクフィルC.2によって撃墜されるという事態が発生しました。また、アメリカ空軍と海軍は、将来のパイロットを育成するための新たな初等練習機として、ビーチクラフトT-6 テキサンIIを選定することを決定しました。

ヨーロッパでは、チェチェン紛争に関連してロシア空軍の航空機が派兵支援のために出撃したほか、NATO軍がボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に関与し、セルビア人勢力に対する航空作戦を実施しました。この作戦では、開始後24時間で200回を超える出撃が行われ、特にドイツ空軍にとっては第二次世界大戦終結後初めての実戦参加となりました。しかし、セルビア軍も航空機による反撃を行い、ボスニア・ヘルツェゴビナ外務大臣が搭乗したMi-8ヘリコプターやアメリカ空軍のF-16戦闘機を撃墜する戦果を挙げました。

技術開発の分野では、日本の航空自衛隊が運用するF-2支援戦闘機（当時はXF-2と呼ばれていました）の試作機が10月に初飛行を実施し、将来の日本の防空を担う機体の開発が進展しました。

一方で、航空機に関連する事故も複数発生しました。2月にはアントノフAn-70輸送機の試作機が同伴機との空中衝突事故を起こし、7名の乗員が犠牲となりました。また、アエロフロートのアントノフAn-12が、乗員の不注意による燃料切れが原因でバクー近郊に墜落する事故も発生しました。民間空港では、マイアミ国際空港が激しい雷雨に見舞われ、複数の定期航空機が被害を受け、多額の損害が発生しました。年末には、コロンビアのカリ近郊でアメリカン航空965便（ボーイング757）が山地に墜落し、159名という多数の犠牲者が出た痛ましい事故も発生しました。

記録への挑戦としては、冒険家スティーヴ・フォセットが気球による太平洋横断を初めて成功させ、韓国からカナダまでの飛行を成し遂げました。また、超音速旅客機コンコルドが世界一周飛行を行い、これまでの記録を更新する31時間27分という驚異的な速度記録を樹立しました。この飛行では、ニューヨークを出発し、トゥールーズ、ドバイ、バンコク、グアム、ホノルル、アカプルコを経由して再びニューヨークに戻るという壮大なルートを辿りました。

さらに、この年の航空分野における功績を称える賞として、ハーモン・トロフィーは女性パイロットのアイリーン・コリンズに、デラボー賞は気球による記録達成者であるスティーヴ・フォセットと宇宙滞在記録を更新したワレリー・ポリャコフに授与されました。

1995年は、軍事的な衝突や航空事故といった悲劇的な側面がある一方で、新型機の開発や速度記録の更新といった技術的進歩や人間による挑戦も繰り広げられた、航空史において記憶されるべき一年となりました。

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