1997年のバスケットボール

1997年（平成9年）は、日本のバスケットボール界にとって、いくつかの点で歴史的な転換点となった重要な一年でした。選手個人の海外挑戦、国内のプロ化の動き、そして国際舞台での躍進など、後に繋がる大きな出来事が相次ぎました。

歴史的な挑戦とWNBAの開幕

この年、日本人選手による世界への挑戦が具体化しました。特に注目されたのは、女子バスケットボールの萩原美樹子選手です。1997年2月27日、彼女は当時創設されたばかりの米国女子プロバスケットボールリーグ、WNBAのドラフトにおいて、サクラメント・モナークスから2巡目全体14位で指名を受けました。これにより、萩原選手は日本人として初めてWNBAの舞台に立つ選手となり、その後の日本人選手の海外進出の道を開く先駆けとなりました。

また、国内でも選手のキャリアにおける新たな選択肢が生まれました。同年4月には、外山英明選手と長谷川誠選手が、日本人バスケットボール選手として初めてプロ契約を結びました。これは、実業団スポーツが主流であった当時の日本において画期的な出来事であり、選手のプロフェッショナルとしての活動が認められる第一歩となりました。

そして、女子バスケットボールの最高峰リーグであるWNBAは、この年の5月に記念すべき最初のシーズンが開幕しました。萩原選手もこの歴史的なシーズンのメンバーとしてプレーし、世界のトップレベルを肌で感じることとなりました。

国際舞台での成果

日本代表チームも国際舞台で大きな成果を上げました。9月19日には、男子日本代表が第19回FIBAアジア選手権大会（サウジアラビア・リヤド開催）の決勝に進出しました。決勝では強豪韓国に惜しくも敗れたものの、準優勝という成績を収めました。この結果、日本男子は実に31年ぶりとなるバスケットボール世界選手権（後のFIBAワールドカップ）の出場権を獲得しました。これは長年の日本の男子バスケットボール界にとって悲願であり、大きな喜びをもたらす出来事でした。

同年の女子アジア選手権（タイ・バンコク開催）でも、日本代表は決勝に進出し、こちらも韓国に敗れて準優勝となりました。男女ともにアジアの強豪国としての地位を再確認した大会となりました。

国際バスケットボール連盟（FIBA）においても、日本にとって重要な決定がありました。11月には、2006年に開催されるFIBAバスケットボール世界選手権の開催地が日本に決定しました。これは、世界最高峰の大会を自国で開催するチャンスであり、日本のバスケットボールの更なる発展に向けた大きな弾みとなりました。なお、これに先立つ2002年の世界選手権はアメリカ合衆国で開催されることも決まっていました。

国内大会の動向

国内の主要大会では、各チームが激しい覇権争いを繰り広げました。

全日本総合バスケットボール選手権大会（オールジャパン）では、男子は松下電器スーパーカンガルーズが優勝を飾り、三菱電機ドルフィンズが準優勝でした。女子はジャパンエナジーサンフラワーズが優勝し、シャンソン化粧品Vマジックが準優勝となりました。

バスケットボール日本リーグ（JSL）では、男子はいすゞ自動車ギガキャッツが優勝、トヨタ自動車ペイサーズが準優勝となりました。女子はシャンソン化粧品Vマジックが優勝、ジャパンエナジーサンフラワーズが準優勝と、オールジャパンとは異なる結果となりました。

未来を担う高校生たちの大会、第28回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会（ウィンターカップ）では、男子は能代工業高校（秋田県）が、女子は名古屋短期大学附属高校（愛知県）がそれぞれ優勝旗を手にしました。男子準優勝は山形南高校（山形県）、女子準優勝は明星学園高校（東京都）でした。

NBAファイナル

北米のプロリーグであるNBAでは、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズがユタ・ジャズとNBAファイナルで対戦しました。このシリーズをシカゴ・ブルズが4勝2敗で制し、2年連続5度目の優勝を果たしました。

1997年は、日本のバスケットボールが世界への扉を開き、国際的な地位を再認識し、国内の競技環境にも変化の兆しが見られた、歴史的な意味合いを持つ一年であったと言えるでしょう。

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