1999年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ

1999年、メジャーリーグベースボールのポストシーズンは10月5日に開幕しました。その中でナショナルリーグ優勝決定シリーズは、アトランタ・ブレーブスとニューヨーク・メッツによる激戦となりました。両チームは1969年以来30年ぶりの対戦。レギュラーシーズンではブレーブスが圧倒的な強さを見せていましたが、ポストシーズンは予想だにしない展開が待ち受けていました。

シリーズは10月12日にアトランタのターナー・フィールドで開幕。ブレーブスとメッツは、互いに一歩も譲らぬ緊迫した試合を展開します。5試合中4試合が1点差という接戦。特に第5戦と第6戦は延長戦までもつれ込むサヨナラゲームとなり、観衆を興奮の渦に巻き込みました。

第5戦、メッツは延長15回裏に満塁のチャンスを作ります。ロビン・ベンチュラの打球はフェンスを越える特大の当たり。誰もがサヨナラ満塁本塁打と確信しましたが、ベンチュラはベースを一周する前にチームメイトに囲まれ、記録は単打となりました。それでも、この劇的な一打は「グランドスラム・シングル」と呼ばれ、語り継がれることになります。

続く第6戦、今度はブレーブスが延長11回裏に満塁のチャンス。アンドリュー・ジョーンズが押し出し四球を選び、シリーズ制覇を決めました。ポストシーズン史上初のサヨナラ押し出し四球という、歴史的な瞬間でした。

シリーズMVPには、6試合で打率.500、2本塁打、5打点、OPS1.424という驚異的な成績を残したエディ・ペレスが選ばれました。特に第2戦での勝ち越し、決勝の2点本塁打は、シリーズの流れを決定づける大きな一撃となりました。

ブレーブスはリーグ優勝を果たしましたが、ワールドシリーズではニューヨーク・ヤンキースに4連敗を喫し、優勝を逃しました。しかし、1999年のナショナルリーグ優勝決定シリーズは、その緊迫感と劇的な展開から、多くの野球ファンの記憶に刻まれたシリーズとなりました。

このシリーズの面白さを数値化した試みもあります。スポーツサイト『ハードボール・タイムズ』のクリス・ジャフは、2011年に歴代のポストシーズンシリーズを独自の指標で評価しました。1点差試合やサヨナラゲームなどにポイントを付与するという方法です。その結果、1999年のナショナルリーグ優勝決定シリーズは、歴代最高のスコアを獲得。1点差ゲームの多さ、サヨナラゲーム、そして最終戦までもつれ込んだことなどが、高評価につながりました。1991年のワールドシリーズや1975年のワールドシリーズといった名勝負を抑え、最も面白いシリーズとしてランクインしたのです。

1999年のナショナルリーグ優勝決定シリーズは、結果だけでなく、その過程においても多くのドラマが詰まった、まさに記憶に残るシリーズだったと言えるでしょう。接戦の連続、劇的なサヨナラゲーム、そして歴史に残る一打の数々。このシリーズは、野球史に名を残す、忘れられない一戦となりました。

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