2 cm Flak 38

2cm Flak 38: 高速発射を実現した対空機関砲

2cm Flak 38は1940年にナチス・ドイツによって採用された口径20mmの対空機関砲です。この砲は、先行する2cm Flak 30の改良型であり、敵航空機の迎撃を目的に開発されました。特に、航空機の速度が増加する中で、Flak 38はより迅速な射撃を実現するために改良が施されました。

開発背景と運用方法

当初、2cm Flak 30は低空の敵戦闘機や戦闘爆撃機を撃退するために配備されていましたが、航空機の高速化に対応するため、マウザー社によって性能が向上されました。Flak 38は、Y字型の砲架に取り付けられ、手動で全周に旋回が可能で、砲身の俯仰は-20度から+90度まで行えます。この運用には、俯仰手、測距手、装填手、弾薬運搬手の4名が必要です。

本砲は、Sd.Ah.51という2輪トレーラーに搭載され、様々な輸送車両に牽引される形で運用されました。具体的には、Sd Kfz 251やマウルティアといった半装軌車両、またクルップ・プロッツェやオペル・ブリッツのようなトラックが利用されました。他にも、大型車両に現地改造で搭載されることもありました。

幅広い軍の使用

Flak 38は、陸軍、海軍、空軍、さらには武装SSに至るまで、各軍で共通して使用されました。要塞や対空陣地、各種車両や列車、さらには艦艇に至るまで、その運用範囲は非常に広範囲にわたりました。また、対空任務に加えて、地上目標への支援射撃としても活用されました。とはいえ、発射速度は180〜220発/分と限界があり、そのため4門を一組にした「2cm Flakvierling 38」というシステムに発展しました。

さらに、本砲を改造して主砲にした「2cm KwK 38」が、後の戦車や装甲車に多く搭載されることにもなりました。これにより、II号戦車や38(t)偵察戦車のような様々な戦車に搭載され、戦力が増強されました。

軽量型と自走砲のバリエーション

また、Flak 38には軽量型「Gebirgsflak 38」というバリエーションも存在しました。これは降下猟兵や山岳猟兵向けに軽量化され、牽引用の台車がなく、台座部分に車輪を装備することができました。射撃時にホイールを外し、三脚を展開することで全周旋回が可能になる設計でした。これにより、簡単に分解して搬送できるため、運用の自由度が高まりました。

自走式の発展

Flak 38は単に牽引されるだけでなく、各種自走砲にも搭載されました。最初の自走型はハーフトラックに搭載されたものですが、対空戦車も製造されました。これらの車両は、地上戦闘における支援に投入され、特に初期の段階ではドイツ軍が優位に立つ場面で使用されました。しかし、後期には対空戦車の需要が高まり、その供給に追いつけない状況が続きました。

特に、Gebirgsflak 38はRSOやシュビムワーゲンに搭載されることもあり、車両間の互換性が確保されラインナップを広げる要因となりました。

映画やゲームにおける発展

Flak 38は数多くの映画やゲームにも登場しています。映画『ちいさな独裁者』や『プライベート・ライアン』では、その存在が際立ち、特に『プライベート・ライアン』では武装親衛隊の装備として描かれています。また、ゲーム『War Thunder』や『バトルフィールド』シリーズにも登場し、したがって、第二次世界大戦の戦場におけるその重要性が再認識されています。

結論

2cm Flak 38は、ナチス・ドイツの対空防衛において一翼を担った重要な兵器であり、その多様な運用形態は今日の兵器設計にも影響を与えています。

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