2台のピアノのためのソナタ (モーツァルト)

2台のピアノのためのソナタ

2台のピアノのためのソナタとは、その名の通り2台のピアノを用いて演奏される楽曲形式です。特に、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトによって作曲された作品群は、ピアノ音楽の中でも重要な位置を占めています。モーツァルトは、1人で1台の鍵盤楽器を演奏する独奏曲だけでなく、2人で1台を演奏する連弾曲、そして2人で2台を演奏するピアノ二重奏曲を作曲しました。

概要

モーツァルトが作曲を試みた2台のピアノのためのソナタは複数存在しますが、完成したのはただ1曲、ニ長調 K.448のみです。その他は、未完のソナタ楽章や、四手のためのピアノソナタとして完成されたものが残っています。また、モーツァルトはソナタ以外にも、2台のピアノのためのフーガを作曲しています。

主要作品

2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 (375a)

モーツァルトが25歳の時にウィーンで作曲し、1781年11月に完成させた作品です。以下の3つの楽章で構成されています。

第1楽章: Allegro con spirito ニ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
第2楽章: Andante ト長調 4分の3拍子 ソナタ形式
第3楽章: Molto allegro ニ長調 4分の2拍子 ロンド形式

この曲は、モーツァルトの弟子であったヨーゼファ・バルバラ・アウエルンハンマーとの演奏のために作曲され、彼女の家で開かれたコンサートで初演されました。モーツァルトはアウエルンハンマーの才能を高く評価し、彼女のために多くの時間を割きましたが、その容姿については手紙で辛辣な評価を下しています。このソナタに連弾ではなく2台のピアノを用いたのは、彼女の才能と容姿に対するモーツァルトの複雑な感情が反映されているという見方もあります。

また、この曲は二ノ宮知子の漫画作品『のだめカンタービレ』で、主人公である千秋真一と野田恵が初めて共演する曲として登場し、広く知られるようになりました。

2台のピアノのためのソナタ楽章 変ロ長調（断片）K.Anh. 42 (375b)

1782年の春、モーツァルトが26歳の時にウィーンで作曲した52小節の未完のソナタ楽章です。

2台のピアノのためのソナタ楽章ないしロンド・フィナーレ 変ロ長調（断片） K.Anh. 43 (375c)

こちらも1782年の春にウィーンで作曲された、16小節の未完のソナタ楽章です。

2台のピアノのためのフーガ ハ短調 K.426

モーツァルトが27歳の時にウィーンで作曲し、1783年12月29日に完成させたフーガです。1788年には、弦楽合奏用に編曲され、冒頭にアダージョの序奏が追加されました（アダージョとフーガ K.546）。

2台のピアノのためのフーガ ト長調（断片） K.Anh. 45 (375d)

1782年にウィーンで作曲された、23小節の未完のフーガです。

その他の2台のピアノのための曲

2台のピアノのためのラルゲットとアレグロ 変ホ長調（断片） K.deest
* 2台のピアノのためのアレグロ ハ短調（断片） K.Anh. 44 (426a)

これらの作品も、モーツァルトが2台のピアノのために作曲した未完の楽曲です。

モーツァルトの2台のピアノのための作品は、その完成度の高さと音楽的な魅力によって、今日でも多くの人々に愛されています。特にソナタ ニ長調 K.448は、2台のピアノという編成の可能性を最大限に引き出した傑作として、広く演奏されています。

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