2&4モータリング社

株式会社2&4モータリングは、かつて存在した日本のメディア制作会社です。講談社グループの一員として、特に映像コンテンツの企画、撮影、制作を主な事業内容としていました。グループ内において、映像制作を専門とする点はユニークな存在でした。

この会社がメディア業界で広く知られるようになったのは、自動車をテーマにした専門的な映像媒体の発行です。中でも中心的だったのは、『ベストモータリング』と『ホットバージョン』という二つの映像形式の定期刊行物でした。

1987年に誕生した『ベストモータリング』は、その形式において極めて革新的でした。映像ソフトでありながら雑誌コードを取得し、従来の雑誌と同様に書店の棚に並び、定期的に購入できるという、当時としては類を見ない流通形態を採用していたのです。これは、紙媒体では表現しきれない自動車の走行性能や車両テストの様子を、映像ならではの迫力と臨場感をもってユーザーに届けようとする試みでした。

また、価格設定も大きな特徴でした。当時の映像ソフト、特に映画などのセルビデオは1万円前後が一般的でしたが、『ベストモータリング』は1,780円という大幅に手頃な価格で提供されました。この戦略は多くのユーザーの支持を集め、映像コンテンツをより身近なものにする上で重要な役割を果たしたと言えます。

創刊初期の出演者としては、伏木悦郎氏や中谷明彦氏といった、当時から第一線で活躍する自動車ジャーナリストが登場しました。彼らを単に「出演者」とするのではなく「キャスター」と呼んだことも、このメディアの先駆性を示すエピソードです。これは、自動車評論家という専門家を、テレビ番組における報道キャスターのような役割に見立てた、当時としては新しい切り口でした。

もう一方の主力媒体である『ホットバージョン』も、自動車のチューニングやカスタム、あるいはスポーツドライビングに特化した内容を映像で提供し、特定の層から強い支持を集めました。

しかし、時代の流れとメディア環境の変化は、同社にも影響を与えました。2011年4月25日、株式会社2&4モータリングは、『ベストモータリング』および『ホットバージョン』の両誌について、定期刊行物としての発行を終了することを発表しました。これにより、会社としての定期的な出版活動は幕を下ろしました。

ただし、『ホットバージョン』に関しては、完全に消滅したわけではありません。その後、発行元がHVプロジェクトという別の組織に移管され、同年8月には再び刊行が開始されることとなりました。株式会社2&4モータリング自身は定期刊行物事業から撤退した形ですが、生み出したメディアの一部は継承されました。

株式会社2&4モータリングは、自動車という専門分野において、映像という新しい媒体形式で定期的な情報を提供し、流通や価格、出演者の呼称など多角的な面で独自の取り組みを展開したことで、日本の自動車メディア史にその名を刻んでいます。

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