2003年の広島東洋カープ

2003年の広島東洋カープ

2003年シーズンは、広島東洋カープにとって山本浩二監督体制が3年目を迎えた年でした。毎シーズン、周囲からはAクラス入りが期待されながらも、夏場以降に勢いを失う傾向が見られた当時のチーム状況において、この年もまた厳しい戦いが待ち受けていました。

シーズンが開幕すると、優勝候補と目されていた読売ジャイアンツが投手陣の不調によってスタートダッシュに失敗するなど、波乱含みの展開となります。その中で広島は、最下位を独走する横浜ベイスターズを除く他の4球団と共に、熾烈なAクラス争いを繰り広げました。特に8月末時点では、2位につけていた読売ジャイアンツとの差がわずか3.5ゲームと肉薄しており、長らくファンが待ち望んだAクラス復帰が現実味を帯びて見えていました。

しかし、期待が高まる中で迎えたシーズン終盤、チームは再び息切れしてしまいます。順位を落とし、最終的にチームは5位でシーズンを終えることになりました。この年のセ・リーグでは阪神タイガースが18年ぶりとなるリーグ優勝を果たしましたが、広島は優勝した阪神から20.5ゲーム差をつけられる結果となりました。山本監督が掲げていたAクラス復帰という悲願は、この年も達成されず、悔しいシーズンとなりました。

投手陣では、球界を代表するエースへと成長した黒田博樹がチームを牽引しました。また、黒田に次ぐ存在として高橋建が安定した投球を見せ、ベテランの佐々岡真司は先発と抑えの両方の役割でチームに貢献しました。リリーフ陣では、この年に入団したルーキーの永川勝浩が、チーム最多となる25セーブを挙げる活躍を見せ、クローザーとして盤石な働きを披露しました。その他にも、澤崎俊和、天野浩一、小山田保裕といった投手たちがブルペンを支え、一定の成績を残しました。

一方、打撃陣では、前年にフリーエージェントで移籍した金本知憲に代わり、新井貴浩が新たに4番打者を任されました。しかし、慣れない重圧もあってか、新井はこの年、打率が2割3分台に低迷し、本塁打数も19本にとどまるなど、期待に応えるには至りませんでした。それでも、夏場以降は、アンディ・シーツが4番に入るなど打順の変更もあり、シーツに加え、前田智徳、緒方孝市、木村拓也といった経験豊富な野手たちが奮起し、新井の不調をカバーする活躍を見せました。山本監督も「新井には（打率）2割8分くらいは打ってほしかった」と語るほどでしたが、この年の苦悩と不振が、その後の新井をセ・リーグを代表する強打者へと成長させる大きな糧となったシーズンでもありました。

最終的にAクラス入りは叶いませんでしたが、個々の選手の活躍や、若手の台頭、ベテランの奮起など、翌年以降につながる要素も見られたシーズンだったと言えるでしょう。しかし、終わってみれば5位という結果は、チームの課題を改めて浮き彫りにするものとなりました。

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