2004年のラジオ (日本)

2004年の日本のラジオ界

2004年の日本のラジオ業界は、地震災害発生時の報道体制や、地域に根ざしたコミュニティ放送局の動向など、様々な側面で注目すべき年となりました。

特に、10月23日に発生した新潟県中越地震では、ラジオがその情報伝達能力を最大限に発揮しました。午後5時56分に地震が発生すると、NHKの全国放送はわずか2分後の午後5時58分には報道特別番組に切り替え、被災状況や関連情報を速報しました。さらに、FM放送とFM文字多重放送を活用し、地震発生当日の午後7時15分から26日未明にかけて、被災された方の安否情報を断続的に提供しました。

被災地を管轄するNHK新潟放送局では、よりきめ細やかなローカル対応が取られました。ラジオ第1放送では、地震発生直後から被災地の生活情報を中心とした特別編成を実施。平日には1日に7回、概ね2時間おきに情報提供の時間を設け、このため一部時間帯で全国放送の番組が休止される措置が取られました。また、10月30日から11月6日早朝にかけては、新潟放送局のラジオ第1放送とFM放送で全く同じ内容を放送するという異例の同時放送体制を敷きました。これは、被災地の一部にAM放送の難聴取エリアが存在することや、夜間の外国局との混信リスクを考慮し、周波数の異なる2波を使用することで、より多くの被災者に確実に震災関連情報を届けることを目的としたものです。

地元民放である新潟放送のラジオも、テレビと連携しながら、地震発生直後から長時間にわたりCMを挟まず震災関連報道を行いました。

コミュニティFM局の対応も特筆されます。長岡市のFMながおかでは、地震発生時に局にいたミキサー兼サブパーソナリティが、帰宅途中から急遽Uターンして局に戻り、地震発生から約10分後には緊急放送を開始しました。放送中も余震が頻繁に発生し、スタジオが大きく揺れる緊迫した状況下でも放送を継続。安否情報、営業店舗情報、生活情報などを11月5日まで24時間体制で提供し、その後も減便しつつ12月末まで震災関連情報を発信し続けました。さらに、10月27日からはFMながおかの放送設備と周波数を利用して、長岡市を免許人とする臨時災害放送局「ながおかさいがいエフエム」が開設され、送信出力も増力して、日中の時間を災害情報番組に充てました。地震に関連しては、十日町市でも同様に臨時災害放送局が開設されています。これらの事例は、大規模災害時における地域密着型ラジオ局の迅速かつ重要な役割を改めて示すものとなりました。

2004年は、コミュニティFM局の新規開局が相次いだ年でもあります。年間を通じて、FMコザ、五日市コミュニティ放送（FMななみ）、エフエムちゃたん（後のFMニライ）、かにかも放送（FMでんでん）、多摩レイクサイドFM、BIPSC（RADIOワンダーストレージ FMドラマシティ）、エフエムもえる、ラジオふらの、北九州シティFM（FM KITAQ）、ぷらざFM（FMわっしょい）など、多くの局が放送を開始しました。また、期間限定で開設されるイベント放送局や、先述の地震による臨時災害放送局も見られました。

放送局の名称変更もありました。10月1日には、エフエムサウンド千葉が「ベイエフエム」に、エフエム名古屋が「ZIP-FM」に、それぞれ商号を変更しています。

番組編成においては、NHKを中心にいくつかの新番組が始まりました。NHKラジオ第1放送では「ときめきJAZZ喫茶」「歌謡ドラマ」「きらり10代」「かんさい土曜ほっとタイム」などが、NHK-FM放送では「バロックの森」「クラシックだい好き」などが放送を開始しました。一方、大阪放送では長年親しまれてきた「近鉄バファローズナイター」が9月に放送を終了しました。

このように、2004年は大規模自然災害発生時のラジオの役割がクローズアップされる一方で、地域に根ざしたコミュニティFMの勢力拡大や、既存放送局の名称変更、そして様々なジャンルの新番組が登場するなど、日本のラジオ界が活発に動いた一年であったと言えます。

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