バロックの森

バロックの森（ばろっくのもり）

『バロックの森』は、NHK-FMで平日の朝6時から6時55分にかけて放送されていた帯番組です。この番組では、主にバロック期以前の西洋音楽が取り上げられ、リスナーはその豊かな響きに触れることができました。特に日曜日の放送は、視聴者からのリクエストに応える特集として親しまれていました。

歴史

この番組のルーツは非常に古く、同時間帯のバロック音楽紹介番組としては、1963年4月1日から放送が開始された『バロック音楽のたのしみ』に遡ります。この番組は1985年3月まで続き、その後一時的に中断したり、『ミュージックダイアリー』、『ミュージックカレンダー』、『あさの音楽散歩』といった別のジャンルの音楽番組が放送された期間を経ています。1989年4月には再びバロック音楽を扱う番組として『あさのバロック』がスタートし、これが2004年3月まで続きました。そして、その流れを受け継ぐ形で放送されたのが『バロックの森』です。

NHK-FMの本放送が始まるさらに以前、試験放送が行われていた1930年代まで遡ると、バロック音楽研究の草分け的存在であった服部幸三氏の解説による番組が既に存在しており、定期放送も行われていました。この歴史的な系譜をたどると、朝6時台におけるバロック音楽番組は、実に40年以上にわたって日本の公共放送で親しまれてきたことになります。番組開始当初から長きにわたり、服部幸三氏に加え、菅野浩和氏、皆川達夫氏といった著名な研究者たちが解説を務め、その学識に裏打ちされた解説は、多くの音楽ファンに深い学びと喜びを与えました。この長年の放送は、日本におけるバロック音楽の普及と理解促進に多大な貢献を果たしたと言えるでしょう。

番組内容と出演者

番組では、様々な時代のバロック音楽を中心に、その背景や演奏者についての解説が加えられました。日曜日のリクエスト特集は、リスナーが愛するバロック音楽を共有する貴重な機会でした。

2010年度には、番組の担当者が刷新されました。この年度の主な担当者は以下の通りです。

平日および土曜日：礒山雅、今谷和徳、関根敏子、大塚直哉（週替わりで担当）
日曜日：松川梨香（リクエスト特集担当）

これにより、平日・土曜日の担当者が同じローテーションで出演する形式となりました。一方、2009年度は以下のような体制でした。

平日：赤塚健太郎、大愛崇晴、加藤拓未、佐野隆（週替わりで担当。過去には松村洋一郎、堀朋平、福本康之も担当経験あり）
土曜日・日曜日：松田輝雄（リクエスト特集担当）

後継番組

『バロックの森』は、2011年度からは番組タイトルが『古楽の楽しみ』と改められました。『古楽の楽しみ』は現在も放送が続けられており、バロック音楽を含む幅広い時代の古楽を紹介する番組として、この長きにわたる歴史を受け継いでいます。

この番組の系譜は、日本の音楽史において、特定のジャンルが公共放送で長期間にわたって継続的に紹介され、その普及に貢献してきた稀有な例と言えるでしょう。

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