2008年の科学

2008年の科学

2008年は、科学の分野において目覚ましい進展が見られた年でした。特に、日本人研究者のノーベル賞受賞が相次いだことは、日本の科学技術のレベルの高さを世界に示す出来事となりました。また、大型ハドロン衝突型加速器の稼働開始や、ビットコインに関する論文発表など、後の社会に大きな影響を与える可能性を秘めた出来事も起こりました。

主な出来事

8月1日: カナダ北部、ロシア中央部、中国などで日食が観測されました。
[9月10日]]: スイスとフランスの国境に設置された高エネルギー物理実験装置「大型ハドロン衝突型加速器]」が初稼働しました。LHCは、素粒子物理学の分野において、物質の根源を探求するための重要な実験装置であり、その稼働開始は世界中の[[科学者から注目を集めました。
9月11日: 京都大学が、人工多能性幹細胞（iPS細胞）の作製方法に関する特許が日本で成立したと発表しました。iPS細胞は、再生医療の分野において大きな可能性を秘めており、今後の医療技術の発展に貢献することが期待されています。
10月2日: イグノーベル賞が発表され、北海道大学の中垣俊之博士らの研究チームが認知科学賞を受賞しました。この研究は、脳や神経系を持たない粘菌が迷路を最短ルートで解くという驚くべき能力を発見したもので、生物の知性に関する新たな視点を提供しました。
10月7日: ノーベル物理学賞に、南部陽一郎博士、小林誠博士、益川敏英博士が選ばれました。素粒子物理学における対称性の破れの発見という功績が評価されました。この年、日本出身者3名が同時にノーベル賞を受賞したのは史上初めての快挙でした。
10月8日: ノーベル化学賞に、下村脩博士が選ばれました。オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質（GFP）を発見し、生物学研究に革命をもたらしたことが評価されました。
11月1日: サトシ・ナカモトと名乗る人物が、デジタル通貨ビットコインに関する論文を発表しました。この論文は、暗号技術を用いた分散型台帳技術であるブロックチェーンの基礎となるものであり、後の仮想通貨の発展に大きな影響を与えました。

受賞

アーベル賞: ジョン・G・トンプソン、ジャック・ティッツ
ウルフ賞
物理学部門: 受賞者なし
数学部門: ピエール・ドリーニュ、フィリップ・グリフィス、デヴィッド・マンフォード
化学部門: ウィリアム・モーナー、アラン・バード
医学部門: ハワード・シダー、アーロン・ラージン
ラスカー賞
基礎医学研究賞: ヴィクター・アンブロス、デイヴィッド・ボールコーム、ゲイリー・ラブカン
臨床医学研究賞: 遠藤章
ノーベル賞
物理学賞: 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
化学賞: 下村脩、マーティン・チャルフィー、ロジャー・Y・チエン
生理学・医学賞: ハラルド・ツア・ハウゼン、フランソワーズ・バレ＝シヌシ、リュック・モンタニエ

物故者

2008年には、多くの著名な科学者が亡くなりました。

ジョシュア・レーダーバーグ（2月2日）：分子生物学者、ノーベル生理学・医学賞受賞者
ジョン・アーチボルト・ホイーラー（4月13日）：アメリカ合衆国の物理学者
アルバート・ホフマン（4月29日）：スイスの化学者
ウィリス・ラム（5月15日）：アメリカ合衆国の物理学者、ノーベル物理学賞受賞者
トーマス・ハックル・ウェーラー（8月23日）：アメリカ合衆国のウイルス学者、ノーベル生理学・医学賞受賞者
ジョージ・エミール・パラーデ（10月8日）：ルーマニア生まれの細胞生物学者、ノーベル生理学・医学賞受賞者
ダニエル・カールトン・ガジュセック（12月11日）：アメリカ合衆国の医師、ノーベル生理学・医学賞受賞者

関連項目

科学史
医学史
化学史
生物学史
数学史
天文学史
物理学史

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