2009年のフランスグランプリ (ロードレース)

2009年のロードレース世界選手権第4戦、フランスグランプリは、5月15日から17日にかけて、フランス・ル・マンのブガッティ・サーキットで開催されました。

このレースは、悪天候により全クラスがウェットコンディション下で行われたことで記憶に残るものとなりました。日曜朝のウォームアップセッション後から降り始めた雨は、決勝レース開始時にも降り続いており、全てのクラスがウェットタイヤでのスタートを余儀なくされました。

125ccクラスでは、激しい雨の中、18台ものマシンがリタイヤする波乱の展開となりました。そんな中、フリアン・シモンが125ccクラス復帰後初優勝という快挙を成し遂げました。2位には、当時15歳と277日という若さでGP史上4番目の若さでの表彰台獲得という快挙を達成した、ドイツの新星、ジョナス・フォルガーが入賞しました。

250ccクラスでも、10台が転倒・リタイヤするなど、荒れたレースとなりました。このレースを制したのはマルコ・シモンチェリで、シーズン初勝利を手にしました。2位にはホンダのエクトル・ファウベル、そしてこのシーズン限りで現役引退を表明していたロベルト・ロカテリが3位となり、現役最後の表彰台を飾りました。

MotoGPクラスは、スタート時点では雨はやんでいましたが、路面は依然としてウェットの状態でした。全車ウェットタイヤを装着してスタートしましたが、レースが進むにつれて路面が乾き始めました。そのため、各チームはピットインしてスリックタイヤに履き替えるという戦略を選択せざるを得ませんでした。MotoGPクラスでは、ウェットレース時にタイヤ交換が認められています。

2番手を走行していたバレンティーノ・ロッシは、いち早くドライタイヤ仕様のマシンに交換するという戦略を取りました。しかし、ピットアウト直後に転倒。再びピットインしてウェットタイヤに交換せざるを得ませんでした。さらに、この際にピットレーン速度規制違反を犯し、ライドスルーペナルティを受け、レースから脱落しました。

一方、ロッシのチームメイトであるホルヘ・ロレンソは、最後までウェットタイヤで走行するという大胆な戦略を選びました。後続を大きく引き離してトップを独走し、13周目にスリックタイヤに交換。トップのままレースに復帰し、今シーズン2勝目を手にしました。

2位には、ハヤテ・レーシングのマルコ・メランドリが入り、2007年の日本GP以来となる表彰台を獲得しました。メランドリの乗るカワサキZX-RRは、ワークス活動休止状態にあったため、この結果が大きな話題となりました。

このフランスグランプリは、天候に左右された激戦であり、各ライダーの戦略、そしてマシンの性能が大きく勝敗を分けたレースとなりました。特にMotoGPクラスでは、ロッシの転倒とロレンソの戦略が大きな焦点となり、レースを語る上で欠かせない要素となりました。また、若手ライダーの活躍や、ベテランライダーの引退なども相まって、このレースは2009年シーズンの大きな転換点の一つとして記憶されています。

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