201型潜水艦

201型潜水艦：西ドイツ初の国産潜水艦

201型潜水艦は、第二次世界大戦後、西ドイツ海軍が初めて建造した潜水艦です。東西ドイツ分裂下の厳しい制約のもと、小型化を追求した艦体と、当時の最新技術が投入された推進システムが特徴です。

開発経緯

第二次世界大戦後、ドイツは武装を制限されていましたが、冷戦の激化に伴い、1955年に西ドイツが主権を回復し、連邦軍が再軍備されることになりました。これに伴い、西ドイツ海軍は再建され、最初の新造艦計画において、12隻の小型潜水艦の建造が決定されました。この計画に基づいて建造されたのが、201型潜水艦です。

設計の特徴

西ドイツ海軍の潜水艦運用構想は、NATOの一員として、ソ連海軍の沿岸攻撃を阻止することでした。そのため、遠洋での活動は想定されておらず、小型で沿岸での対潜戦や艦艇攻撃に特化した設計となりました。

小型化と隠密性: 敵のソナー探知を避けるため、ターゲット・ストレングス（TS）の低減が図られました。また、磁気探知機（MAD）対策として、船殻には非磁性鋼が採用されました。
船体構造: 単殻式構造ですが、耐爆強度を高めるため、耐圧殻の板厚が増加されました。軽量化のため、耐圧横隔壁は省略されています。浸水対策として、バラスト・タンク内にヒドラジンガスを急速に発生させる装置が設置されました。
推進システム: 従来のディーゼル直結推進方式ではなく、ディーゼル・エレクトリック方式が採用されました。ディーゼル直流発電機2基と二重電機子式の電動機により、1軸を駆動する構成です。水中放射雑音を低減するため、艦内の機器類は全て緩衝装置を介して取り付けられています。
兵装: 8門の魚雷発射管を装備しますが、艦内に予備魚雷は搭載せず、撃ち尽くせば帰還する運用でした。各発射管には、機雷を2発ずつ搭載することもできました。

運用と退役

201型潜水艦は、非磁性鋼の採用が仇となり、深刻な腐食問題が発生しました。そのため、4番艦以降は、防食対策を施した205型潜水艦に設計変更されることになり、201型として建造されたのは3隻のみでした。これらの艦も早期に退役することとなりました。U3は、1962年から1964年にかけて、ノルウェー海軍に貸与されました。

201型潜水艦の教訓

201型潜水艦は、西ドイツ海軍の再建初期における試行錯誤の産物であり、その経験は、後の205型潜水艦の開発に活かされました。また、小型潜水艦の設計思想や、ディーゼル・エレクトリック方式の採用など、現代の潜水艦技術にも影響を与えています。

参考情報

Taucher.net (ドイツ語)
https://www.taucher.net/
1954 - Protocol No. III (and annexes) on the control of armaments, October 23 - 軍備制限に関する議定書III (1954年10月23日)

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