2012年のインディカー・シリーズ

2012年インディカー・シリーズ：激動のシーズン

2012年のインディカー・シリーズは、17年目のシーズンとして、数々の変更とドラマチックな展開で記憶に残る1年となりました。まず、長年使用されたシャシーがダラーラ製のDW12に刷新されました。DW12は基本部分はワンメイクですが、エアロパーツなどは各メーカーが自由に開発できるシステムで、2012年は全チームがダラーラのエアロパッケージを使用しました。このDW12という名称は、前年最終戦で事故死したダン・ウェルドンのイニシャルから取られたもので、彼の功績を称えるものとなっています。

さらに、エンジンも自然吸気からターボエンジンへと変更され、ホンダに加えシボレーとロータスが参戦。ホンダはHPD、シボレーはイルモアとタッグを組み、ロータスはジャッドと協力体制を築きました。このエンジン供給メーカーの増加により、事実上『マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップ』が復活し、メーカー間の競争が激化しました。また、シーズン後半にはオーバルコース以外で「プッシュ・トゥ・パス」システムが導入され、レースにさらなる戦略性が加わりました。

開催スケジュールも大きな変更がありました。ツインリンクもてぎ、ニューハンプシャー、ラスベガス、ケンタッキーでのレースが中止となり、代わりにデトロイトのベル・アイル・パーク市街地コースとフォンタナのオートクラブ・スピードウェイでのレースが復活しました。中国・青島でのレースも計画されていましたが、開催中止となり、当初16戦の予定だったシーズンは15戦となりました。ミルウォーキーは当初カレンダーから外れる予定でしたが、追加レースとして開催されることになりました。オーバルコースのレース数は減少しましたが、ロード/ストリートコースのレースが増加するなど、レースの構成に変化が生じました。テキサスでのレースは2イベント制から1イベント制に戻り、アイオワでは予選レース方式が採用されました。リスタート方式も、コースの種類によってシングルファイルとダブルファイルを使い分ける方式が採用されました。ロード/ストリートコースではカーボンブレーキディスクの使用が許可され、オーバルではレース中にディフェンスラインを取れるようになりました。

日本国内の中継はGAORA、アメリカ国内の中継はABCとNBCスポーツが担当しました。

参戦チームとドライバーについても大きな変化がありました。シャシーはダラーラ製ワンメイクでしたが、エアロパーツなどは各チームが自由に選択することができました。タイヤはファイアストン製ワンメイクでした。インディ500のエントリーリストはインディアナポリス・モータースピードウェイ公式発表に基づいており、いくつかのチームがエンジン供給元を変更するなど、シーズンを通して変動がありました。ロータスはシーズン途中で供給チームが減少し、最終的にデ・シルベストロのみがロータスエンジンを使用することとなりました。

レース結果では、ウィル・パワーとライアン・ハンター＝レイが3連勝を達成しました。インディ500はダリオ・フランキッティが3度目の優勝を果たし、ジャスティン・ウィルソンがテキサスで優勝、エド・カーペンターがフォンタナで自身2勝目、チーム初優勝を記録しました。また、複数のドライバーがキャリア最高位を獲得するなど、多くのドラマが展開されました。ドライバーズチャンピオンシップはライアン・ハンター＝レイが獲得、アメリカ人ドライバーのチャンピオンはサム・ホーニッシュ・ジュニア以来となりました。

エンジン競争は激化し、各メーカーともに規定走行距離に満たない段階でのエンジン交換が多発しました。ホンダはシングルターボ、シボレーはツインターボを採用、ロータスは2社に大きく劣る性能に苦しみました。シボレーは開幕から強さを見せ、マニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。ホンダはインディ500とテキサスで優勝するなど健闘しましたが、シボレーには届きませんでした。ロータスはシーズン終了後にインディカー・シリーズから撤退しました。

いくつかのレースでは、予期せぬアクシデントや新ルールの適用など、予想外の展開がありました。デトロイトでは路面状況によりレースが中断される事態が発生し、エドモントンとミッドオハイオではノーコーションレースが続きました。フォンタナでは、新ルールが適用され、レースが中断、再開されるという展開となりました。

最終的に、ドライバーズチャンピオンはライアン・ハンター＝レイ、マニュファクチャラーズチャンピオンはシボレーが獲得しました。2012年シーズンは、技術革新、熾烈な競争、そして数々のドラマが凝縮された、記憶に残るシーズンとなりました。

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