2012年エジプト大統領選挙

2012年エジプト大統領選挙について

2012年のエジプト大統領選挙は、2011年の革命後初めて行われる自由選挙であり、この選挙では候補者も有権者も前例のない状況で評価されました。エジプト史上初となる自由かつ直接的な選挙は、アラブの春の一つの成果を象徴するにふさわしいものであり、国内外の注目を集めました。

選挙の背景と経過

1981年に就任したホスニー・ムバーラク大統領は、2011年1月に発生した広範な反政府デモを背景に退陣し、その後はエジプト軍最高評議会が暫定政権を運営しました。民政移管の準備が進められた中、人民議会選挙ではイスラム系政党が大勝を収め、特に自由と公正党が多数議席を獲得しました。この状況を受けて、選挙管理委員会は大統領選挙を2012年5月23日と24日に実施すると発表しました。

候補者の動向

選挙には23名が立候補し、その中から10名が資格不適とされて失格となりました。特に注目されたのは、元首相のアフマド・シャフィークの存在でした。彼はムバーラク政権の一部として知られており、彼の立候補が波紋を呼びました。

選挙前には「分離法」が施行され、これはムバーラク政権下で幹部を務めた人物の出馬を制限するものでしたが、シャフィークの異議申し立てが受理され、最終的には立候補を許可されました。このように、選挙自体が多くの政治的対立を生み出しました。

投票と結果

2012年5月23日、エジプト国民は初めて自由に投票を行いました。投票所には長い行列ができ、多くの有権者が参加しました。最終的に、投票率は46.2%に達しましたが、過半数を得た候補者はおらず、ムハンマド・ムルシーとシャフィークの2名が決選投票に進出することになりました。

決選投票は6月16日と17日に行われ、ムルシーは様々な政党からの支持を受け、さらに他のリベラル勢力も反シャフィークに結束しました。投票の結果、ムルシーが勝利宣言を行い、その結果が公式に発表されると、シャフィークは抵抗しましたが、最終的に敗北を認めました。

国際的な反応

この選挙に対する国際社会の反応も決して無視できません。アメリカ合衆国のヒラリー・クリントン国務長官は、この選挙を「歴史的な大統領選挙」と位置付け、新政権との協力を期待する旨を表明しました。また、日本の外務大臣も選挙の進行を評価し、改革の継続を支持する意向を示しました。

このように、2012年のエジプト大統領選挙は、その自由かつ公正なプロセスによって、エジプトの政治史上において重要な位置を占めるものとなりました。選挙結果は、アラブの春がもたらした変革の象徴であり、今後のエジプトにおける政治的な進展に大きな影響を与えることとなります。

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