2014年リビア内戦

2014年リビア内戦

2014年リビア内戦は、2014年から2020年にかけてリビアの領土支配を巡り、複数の武装勢力が衝突した内戦です。2011年のカダフィ政権崩壊後の混乱が深刻化し、国の分裂を招きました。第一次リビア内戦（2011年）後の不安定な情勢が、更なる紛争の火種となりました。

主要な対立構造

紛争の主要な構図は、以下の通りです。

トリポリ政府: 2014年に民主的に選出されたものの、イスラム勢力の支持基盤を持ちます。
トブルク政府: 国際的に承認された政府で、世俗派の支持を受けています。
IS系武装勢力: シルテを拠点に勢力を拡大し、リビア国内の治安を悪化させました。
カダフィ派残党: 旧カダフィ政権の支持者であり、勢力回復を狙っています。
* 各部族の民兵: 各地域の権益を主張し、紛争に加担しています。

これらの勢力が入り乱れ、リビア国内は無政府状態に陥りました。

国際的な介入

リビア内戦は、外国勢力の介入も招きました。トルコ、カタール、イタリアなどはトリポリ政府を支援し、ロシア、エジプト、フランスなどはリビア国民軍を後押ししました。これにより、紛争は国際的な代理戦争の様相を呈しました。

前史：2011年リビア内戦（第一次リビア内戦）

2011年、アラブの春の影響を受け、リビアでもカダフィ政権に対する抗議デモが発生しました。デモは次第に武装蜂起へと発展し、カダフィ政権と反体制派のリビア国民評議会との間で内戦が勃発しました。NATO軍の介入もあり、同年8月には首都トリポリが陥落し、カダフィ政権は崩壊しました。しかし、カダフィ政権崩壊後も国内の混乱は収まらず、部族間の対立やイスラム過激派の台頭を招きました。

カダフィ政権崩壊後の国民対立

カダフィ政権崩壊後、政権下で優遇されていた部族は迫害を受け、報復の応酬が起きました。ミスラタとタオルガの対立はその典型的な例で、双方合わせて7000人近くが死亡する激しい戦闘が繰り広げられました。調停委員会が設置されましたが、部族間の対立は根深く、容易には解決しませんでした。

暫定政権の混迷

2012年7月には国民全体会議選挙が行われましたが、政党間の対立が激化し、暫定政権は混乱を極めました。9月には米領事館襲撃事件が発生し、スティーブンス大使らが死亡しました。その後も首相の解任や旧カダフィ政権支持派による刑務所襲撃事件などが相次ぎ、国内の治安は悪化の一途を辿りました。

二つの政府の並立

2014年、イスラム系武装勢力の攻勢が活発化し、政府の支配権が弱まりました。6月に行われた国民議会選挙の結果に不満を持つイスラム勢力が攻勢をかけ、7月にはトリポリ国際空港を占拠しました。世俗派政府・議会は首都トリポリを追われ、東部のトブルクに拠点を移しました。これにより、リビア国内にはトリポリとトブルクの二つの政府が並立する事態となりました。

イスラム過激派の台頭と中小勢力の乱立

政治の空白をついて、ISILなどの過激派組織が勢力を拡大しました。2015年現在、リビア国内にはトリポリを拠点とするイスラム勢力系の新国民議会と、トブルクを拠点とする世俗派のリビア国民代議院による二つの政府・議会が存在し、それぞれが正当性を主張しました。東部のキレナイカ地方は独自の自治政府により統治され、中央政府の支配が行き届いていませんでした。2016年10月には、国民議会派によるクーデターも発生しました。

リビア国民軍のトリポリ進出

2019年4月、リビア国民軍を率いるハリーファ・ハフタルがトリポリへの進軍を宣言し、再び戦闘が激化しました。国連やアメリカの警告を無視する形で、トリポリ周辺で激しい戦闘が繰り広げられ、多くの市民が避難を余儀なくされました。

停戦と統一政府の樹立

2020年10月、暫定政権とリビア国民軍は停戦に合意し、2021年3月にはトリポリとトブルク両政府が承認する統一政権が発足しました。しかし、国内の安定には依然として課題が残されています。部族間の対立、武装勢力の存在、外国勢力の介入など、解決すべき問題は山積しています。リビアの平和と安定のためには、国内勢力の対話と協力、そして国際社会の支援が不可欠です。

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