2014年欧州議会議員選挙 (ハンガリー)

2014年ハンガリー欧州議会議員選挙：フィデスの圧勝と政界再編

2014年5月25日、ハンガリーでは欧州議会議員選挙が実施されました。これは、欧州連合（EU）の議会である欧州議会議員の改選選挙で、ハンガリーにおいてはEU加盟後3回目の選挙となります。

本選挙の最大の焦点は、2010年総選挙で勝利し、以来政権を維持してきたフィデス＝ハンガリー市民同盟・キリスト教民主国民党（以下、フィデス）の動向でした。フィデスは、オルバーン・ヴィクトル首相率いる中道右派政党で、キリスト教民主国民党と政党連合を組んでいます。選挙には、フィデスの他に、ハンガリー社会党（MSZP）、ヨッビク（Jobbik）、新しい政治の形（LMP）、民主連合（DK）、共に2014-ハンガリーのための対話（EGYÜTT-PM）など複数の政党が参加しました。

選挙の結果、フィデスは予想を上回る大勝を収めました。得票率51%、議席数12議席（21議席中）を獲得し、議会の過半数を掌握しました。これは、4月に行われたハンガリー国会議員総選挙での結果を踏まえると、さらに大きな勝利と言えるでしょう。総選挙では第三党に留まっていた極右政党のヨッビクが、本選挙では14%の得票率を獲得し、第二党に躍進しました。一方、最大野党である社会党は、前回選挙の議席数を下回る2議席に留まり、得票率も11%と低迷しました。

また、注目すべきは、新たに議席を獲得した政党の存在です。2011年に社会党から分裂して結成された民主連合（DK）は、2議席を獲得し、健闘しました。さらに、「共に2014-ハンガリーのための対話」も1議席を獲得しました。この連合は、元首相バイナイ・ゴルドンが率いる「共に2014」と、LMPから離党した議員らが結成した「ハンガリーのための対話」による連合政党です。環境保護政党である「新しい政治の形」も、阻止条項である有効投票数の5%を僅かに上回り、1議席を獲得しました。

選挙後、社会党党首のメシュテル・ハージは、選挙での敗北の責任を取り、党首と国会議員団長の職を辞任することを表明しました。この結果、ハンガリー社会党は大きな打撃を受け、党の再編を迫られることとなりました。

本選挙は、ハンガリーの政界における勢力図を大きく塗り替える結果となりました。フィデスの圧倒的な勝利は、オルバーン政権の安定をさらに強固にする一方で、野党勢力の再編を促すこととなりました。今後、社会党やその他の野党がどのように対応していくのか、今後のハンガリー政治の展開が注目されます。

選挙データと制度

議員定数（ハンガリー割当分）： 21議席（前回比3議席減）
選挙権・被選挙権： 18歳以上のEU市民
議員任期： 5年
選挙制度： 比例代表制（ドント式）
選挙区： 全国1選挙区
投票： 政党名簿に投票（拘束名簿式）
阻止条項： 有効投票数の5%以上
立候補要件： 2万名以上の推薦状（一人の有権者が複数政党を推薦することは不可）

主要政党

本選挙では、上記以外にも複数の政党が立候補しましたが、ここでは特に影響力の大きかった政党について説明します。

フィデス＝ハンガリー市民同盟（Fidesz-MPSZ）： オルバーン・ヴィクトル首相率いる与党。中道右派。
ハンガリー社会党（MSZP）： 中道左派の最大野党。
ヨッビク（Jobbik）： 極右政党。ロマ人排斥、反グローバリズム、反ユダヤ主義などを主張。
新しい政治の形（LMP）： 環境保護を重視する中道左派政党。
民主連合（DK）： 社会党から分裂した中道左派政党。
共に2014-ハンガリーのための対話（EGYUTT-PM）： 複数の小政党による連合政党。

参考文献

全国選挙管理事務所
欧州議会
* 在ハンガリー日本大使館

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