2015年の航空

2015年（平成27年）は、世界の航空業界にとって多くの重要な出来事が発生した年となりました。新しい航空機のデビューや国産航空機の開発進展、そして各社の路線戦略といった前向きな動きがあった一方で、多数の犠牲者を出した悲惨な航空事故や、日本の航空会社における経営問題など、厳しい現実も突きつけられました。ここでは、その年の主要な航空関連の出来事を振り返ります。

新型機の登場と開発

航空技術の進歩を示す重要な動きとして、エアバスの最新鋭広胴型機「A350 XWB」が、この年1月15日にカタール航空によって世界で初めて商業運航を開始しました。これは、ボーイングのB787に対抗する新世代旅客機であり、燃費効率の向上や快適性の追求など、今後の航空旅行に大きな影響を与える機材として注目されました。

また、日本の航空機産業にとっても画期的な年となりました。11月11日には、三菱航空機が開発を進める国産初の小型ジェット旅客機「Mitsubishi SpaceJet」（当時はMRJ）が、名古屋空港で記念すべき初飛行に成功しました。これは日本の航空機開発において大きな一歩となる出来事でした。さらに、ホンダが開発したビジネスジェット「HondaJet」も、12月23日に初号機が顧客へ引き渡され、新たな航空機の歴史が刻まれました。

航空会社の動向

日本の航空業界では、経営上の大きな変化がありました。長年にわたり大手二社に次ぐ地位を目指してきたスカイマークエアラインズが、多額の債務を抱え、1月28日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し、事実上の経営破綻に至りました。これにより、西久保慎一社長が退任し、有森正和取締役が新社長に就任するという経営体制の変更も行われました。

国際線では、ヴァージン・アトランティック航空が日本路線からの撤退を決定しました。2月1日に成田発ロンドン行きのVS901便が最後の運航となり、その後の日本への乗り入れが終了しました。

一方、新規参入や路線拡大の動きもありました。台湾の格安航空会社であるタイガーエア台湾は、日本への乗り入れを拡大し、4月2日には台北と成田を結ぶ路線を、6月29日には台北と那覇を結ぶ路線をそれぞれ新規に開設しました。

相次ぐ航空事故

2015年は、世界各地で複数の痛ましい航空事故が発生し、多くの命が失われました。

2月5日には、台湾のトランスアジア航空GE235便（ATR 72-600型機）が台北松山空港を離陸してまもなく、エンジントラブル後に失速し、市街地の河川に墜落しました。

3月24日には、ドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス9525便（A320-211型機）が、フランスのアルプス山脈に意図的に墜落させられるという衝撃的な事故が発生しました。副操縦士が単独で操縦室に閉じこもり、機体を降下させたことが明らかになり、世界に衝撃を与えました。

日本国内でも事故が発生しました。4月14日、韓国のアシアナ航空のエアバスA320型機が広島空港に着陸する際、滑走路を逸脱し、機体の一部を損傷する事故が起きました。

国外では他にも、6月30日にインドネシアのメダンで、インドネシア空軍のC-130輸送機が離陸直後に住宅密集地に墜落し、地上を含め100人以上の犠牲者が出ました。8月16日にはインドネシア東部パプア州でトリガナ航空267便が墜落し、搭乗者全員が犠牲となりました。8月28日には、日本の第一航空が運航するDHC-6-400 ツインオッターが粟国空港で事故を起こしています。

さらに、10月31日にはエジプトのシャルム・エル・シェイク国際空港を離陸したロシアのメトロジェット9268便（A321型機）がシナイ半島に墜落し、搭乗していた224人全員が死亡するという大惨事となりました。この事故は後にテロ攻撃によるものと断定されています。11月4日には、南スーダンのジュバ空港を離陸したアントノフ12型輸送機が墜落する事故も発生しました。

これらの事故は、航空安全の重要性を改めて浮き彫りにし、関係各機関による再発防止策の強化が求められる結果となりました。

2015年は、航空技術の進化と市場の競争、そして安全という、航空業界が常に直面する課題が様々な形で現れた一年だったと言えるでしょう。

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