2016年問題

2016年問題についての詳細

概要

2016年問題とは、主に東京都およびその周辺地域で、2020年東京オリンピックに向けた大型劇場やコンサートホールの改修工事により、コンサートや演劇、バレエ、クラシック音楽の公演などが難しくなり、結果的に会場不足が深刻化した状況を指します。この問題は特に青山劇場や五反田ゆうぽうとなどの閉鎖によるもので、約2万5,000席分の公演スペースが失われました。さらに、過去には新宿コマ劇場や東京厚生年金会館なども閉鎖され、事態はさらに深刻化しました。

問題の表面化

施設不足により大規模な公演の主催者は中規模会場を複数日程で占有するようになり、それに伴って中小規模の公演開催者も小規模な会場に予約を殺到させる事態が発生しました。このため、多くの会場はほぼ全日程で稼働しなければならなくなり、全体的な不足状況が続きました。特に東京圏や関西圏以外の地方の公演は、大都市圏で得た利益を活用して赤字を補填するのが一般的であるため、地方での選択肢は限られていました。2014年には観客動員が前年比で2倍に達しているにもかかわらず、まさに需要に対する供給のバランスが崩れている状況にありました。

緊急の取り組み

この問題を受けて、2016年1月には乃木坂46がデビュー記念ライブを延期する決定を行いました。5月には東京都庁がホールや野外コンサート会場の状況を把握し、国に提案を行うことを決定しました。このような取り組みが進められる中でも、新たにZepp DivercityやEX THEATER ROPPONGIなどの新施設が開業しており、一部では問題は深刻化していないとの意見も存在しました。

背景

さらに、問題の根底には、過去の政策が影響していると指摘されています。特に、民主党政権下で行われた「事業仕分け」によって多くの施設が閉鎖されたことが影響を及ぼし、またバブル期に建設された施設が耐震補強工事に差し掛かっていることも一因でした。これら多くの要因が重なり合い、結果的に2016年問題が引き起こされました。

その後の状況

コンサートプロモーターズ協会のデータによれば、2016年の公演回数や動員数は前年を上回ったものの、その成長率は鈍化しており、総売上もわずかに減少しました。リアルサウンドの久蔵千恵は2018年に、オリンピック前後での会場利用の問題がより顕著になると述べています。

2019年になると、会場不足はほぼ解消されており、大規模会場の整備が進む中で中規模のホールは依然として不足気味でした。ライブ・エンターテインメント市場は2017年以降成長し続けましたが、2020年には新型コロナウイルスの影響で急激な縮小に直面しました。

関連施設

2016年前後に改修や閉鎖が行われた主要施設には、SHIBUYA-AXや青山劇場、国立競技場などが含まれます。また、福岡や名古屋でも似たような問題が発生し、地域によっては依存度が高い施設が閉鎖されることでより深刻な状況に至っています。特に福岡では、Zepp Fukuokaの閉鎖が大きな影響を与えました。

結論

2016年問題は、東京オリンピックに向けた大型施設の改修という特異な環境下で生じた問題であり、東京圏のみならず、全国で様々な影響を及ぼしました。この問題は、将来的にも会場の管理と需要のバランスを如何にとるかが重要となることを示唆しています。

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