2017年の台風

2017年の台風に関する詳細な記録

2017年に太平洋北西部と南シナ海で発生した熱帯低気圧、特に台風に焦点を当てて、その発生状況、日本への影響、個々の台風の詳細な進路や勢力、および熱帯低気圧について包括的に解説します。

2017年の台風の概要

2017年は、合計27個の台風が発生しました。これは平年の25.6個とほぼ同数であり、特筆すべき大きな変動はありませんでした。しかし、日本への影響を見ると、接近数は8個と平年11.4個より少なかったものの、上陸数は平年2.7個を大きく上回る4個（第3号、第5号、第18号、第21号）を記録しました。

特に7月は台風が多発し、8個の台風が発生しました。これは1971年と並び観測史上最多タイの記録です。この背景には、太平洋北西部と南シナ海での対流活動が活発になったことが挙げられます。7月21日から30日の10日間には、6個の台風が相次いで発生しました。また、7月23日には一時的に4個の台風（5号から8号）が同時に存在し、これは1994年以来23年ぶりの現象でした。

一方で、9月は台風の発生が4個にとどまり、台風18号の消滅後には台風の発生が全くなく、9月下旬に台風が1つも発生しないという、1973年以来44年ぶりの珍事となりました。しかし、10月には台風20号と21号が発生し、特に台風21号は超大型にまで発達し、上陸時の大きさの記録がある1991年以降では初めての事例となりました。また、2017年は猛烈な台風が1つも発生しなかったことが、2002年以来15年ぶりの特徴でした。

各台風の詳細

以下に、2017年に発生した主な台風の詳細を記述します。

台風1号（ムイファー）

4月26日に発生し、フィリピンの東を北上しましたが、発達せずに熱帯低気圧に変わりました。

台風2号（マールボック）

6月11日に南シナ海で発生。香港付近に上陸後、熱帯低気圧に変わりました。

台風3号（ナンマドル）

7月2日に沖縄の南で発生。九州に上陸し、日本列島を横断。九州北部豪雨の一因となりました。

台風4号（タラス）

7月15日に南シナ海で発生。ベトナムに上陸後、熱帯低気圧に変わりました。

台風5号（ノルー）

7月21日に南鳥島付近で発生。太平洋上を迷走し、19日間という観測史上最長の台風期間を記録しました。和歌山県に上陸後、温帯低気圧に変わりました。

台風6号（クラー）

7月21日にミッドウェー島の南西海上で発生。西進を続けましたが、日本の東で熱帯低気圧に変わりました。

台風7号（ロウキー）

7月22日に南シナ海で発生。香港の東に上陸後、熱帯低気圧に変わりました。

台風8号（ソンカー）

7月23日に南シナ海で発生。ベトナムに上陸後、熱帯低気圧に変わりました。

台風9号（ネサット）

7月26日にフィリピンの東で発生。台湾に上陸後、中国に再上陸し、熱帯低気圧に変わりました。

台風10号（ハイタン）

7月29日に南シナ海で発生。台湾南部に上陸後、熱帯低気圧に変わりました。この台風の発生により、7月の台風発生数が最多タイ記録となりました。

台風11号（ナルガエ）

8月2日にウェーク島近海で発生。日本のはるか東海上を北上し、温帯低気圧に変わりました。

台風12号（バンヤン）

8月11日にウェーク島近海で発生。太平洋上を北上し、温帯低気圧に変わりました。

台風13号（ハト）

8月20日にフィリピンの東で発生。香港やマカオに大きな被害をもたらし、その後中国に上陸し熱帯低気圧に変わりました。

台風14号（パカー）

8月25日にフィリピンの東で発生。ルソン島に上陸し、その後中国に上陸後、熱帯低気圧に変わりました。

台風15号（サンヴー）

8月28日にマリアナ諸島近海で発生。父島周辺に停滞後、日本の東海上を北上し温帯低気圧に変わりました。

台風16号（マーワー）

9月1日に南シナ海で発生。華南で熱帯低気圧に変わりました。

台風17号（グチョル）

9月6日に南シナ海で発生。発達せず、すぐに熱帯低気圧に変わりました。

台風18号（タリム）

9月9日にマリアナ諸島の東で発生。鹿児島県に上陸後、高知県と兵庫県にも上陸し、日本の本土4島に上陸したと報じられましたが、後に北海道上陸前に温帯低気圧に変わったことが確定しました。

台風19号（トクスリ）

9月12日に南シナ海で発生。ベトナムに上陸後、熱帯低気圧に変わりました。

台風20号（カーヌン）

10月12日にフィリピンの東で発生。1ヶ月ぶりの台風発生となりました。

台風21号（ラン）

10月16日にカロリン諸島で発生。超大型に発達し、静岡県に上陸。その後温帯低気圧に変わりました。この台風は、上陸時の大きさが観測史上初めてとなりました。

台風22号（サオラー）

10月24日にマリアナ諸島の東で発生。西日本から東日本の太平洋側を中心に大荒れの天気をもたらし、三陸沖で温帯低気圧に変わりました。

台風23号（ダムレイ）

11月2日に南シナ海で発生。ベトナムAPEC開催中に被害が明らかになり、多くの死者が出ました。この台風から、2000年以降使用されている台風のアジア名が4巡目に入りました。

台風24号（ハイクイ）

11月9日にルソン島上で発生。南シナ海で熱帯低気圧に変わりました。

台風25号（キロギー）

11月18日に南シナ海で発生。熱帯低気圧に変わりました。

台風26号（カイタク）

12月14日にフィリピンの東で発生。フィリピンで大きな被害を出し、後に熱帯低気圧に変わりました。この台風のアジア名は使用中止となりました。

台風27号（テンビン）

12月21日にミンダナオ島の東で発生。ミンダナオ島に大きな被害をもたらし、後に熱帯低気圧に変わりました。

気象庁が台風と分類しなかった熱帯低気圧

2017年には、気象庁が台風と分類しなかった熱帯低気圧も多数発生しました。これらは、合同台風警報センター(JTWC)が熱帯低気圧と認めたものや、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)がフィリピン名を命名したものなどがあります。これらの熱帯低気圧が、局地的な豪雨や洪水などの被害をもたらした事例もあります。

各熱帯低気圧の影響

各熱帯低気圧の期間、階級、最大風速、最低気圧などのデータについては、気象庁およびJTWCの解析に基づいて詳細なデータが記録されています。これらのデータは、熱帯低気圧の勢力や影響を評価する上で重要です。

まとめ

2017年の台風は、発生数こそ平年並みでしたが、その活動は多様でした。特に7月の多発、台風5号の長期間迷走、そして超大型で上陸した台風21号は特筆に値します。また、台風に分類されなかった熱帯低気圧も、様々な地域に影響を与えました。これらの記録は、今後の台風対策や気象研究に貴重な情報を提供します。

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