2018年ブラジル総選挙

2018年ブラジル大統領選挙の背景と結果

2018年10月7日、ブラジルで大統領と連邦議会下院議員、州知事の選挙が行われました。この選挙は、ブラジルの政治が大きな混乱に見舞われていた時期に開催されたものです。第一回投票では、候補者の中から過半数の票を獲得した人物がいなかったため、10月28日に決選投票が実施されることになりました。

前回、大統領となった労働者党のジルマ・ルセフは2016年に罷免されており、その後は副大統領を務めていたミシェル・テメルが大統領の座を引き継ぎました。テメルは75歳というブラジル史上最高齢での就任となり、ルセフ政権の政策を大きく変える決断をし、公共支出の凍結に関する憲法改正を行いました。しかし、テメルの支持率は驚くべきことに7%という低水準で、無私の国民の76%が彼の辞任を望んでいました。テメル自身は大規模な抗議運動にもかかわらず、任期を全うする意思を示していましたが、彼は選挙法違反で起訴され、選挙には立候補できませんでした。

この選挙戦で注目を集めたのが、リオデジャネイロ州の連邦議員であるジャイール・ボルソナーロです。彼は極右を自認し、過去の軍事政権を称賛する発言をしてきたことで知られていました。ボルソナーロは小政党である社会自由党に参加し、その理念を社会自由主義からナショナリズムへと転換しました。彼のプランには、犯罪対策として銃の所持を容易にし、死刑制度の復活、国営企業の民営化などが含まれていました。また、副大統領候補には保守的なアミルトン・モウランを選びました。

一方、他の候補者たちは苦戦を強いられました。中道右派のブラジル社会民主党（PSDB）から立候補した元サンパウロ州知事のジェラルド・アルキミンは、期待外れの結果に終わりました。左派陣営では、元大統領のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァが汚職の疑いから立候補を果たせず、その代わりに無名のパウロ・フェルナンド・アダジが大統領候補となりました。アダジの副大統領候補にはブラジル共産党所属のマニュエラ・ダビラが選ばれました。

選挙期間中には、ボルソナーロが遊説先で刺されるという事件が発生し、暴力的な行動が増加する結果となりました。また、WhatsAppや他のSNSではフェイクニュースが広がり、それが有権者の投票に影響を与えました。最終的に、第一回投票ではボルソナーロが約46%の票を獲得し、首位に立ちました。アダジは29%、シーロは12%という結果で続きました。

決選投票では、ボルソナーロがアダジを10ポイント差で下し、見事に大統領に当選しました。2019年1月1日には正式に大統領に就任し、今後のブラジルの政治に大きな影響を及ぼすこととなります。この選挙は、地域の人々の多様な声を反映し、今後の政治的対立や政策への期待と懸念を新たにするきっかけとなりました。

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