2019年プルワマ襲撃事件

2019年プルワマ襲撃事件

2019年プルワマ襲撃事件は、2019年2月14日にインドのジャンムー・カシミール州プルワマ県で発生した自爆テロ事件です。この事件は、長年にわたるカシミール地方の紛争を背景に発生しました。

背景

カシミール地方は、インドとパキスタンの間で領有権が争われており、両国がそれぞれ一部を実効支配しています。1980年代後半から、インドの実効支配地域では反インド感情が高まり、反乱が頻発するようになりました。この背景には、1987年の州議会選挙における不正疑惑や、パキスタンからの反乱勢力への支援などが指摘されています。1989年以降、これらの反乱とインド政府による鎮圧作戦によって、約7万人が死亡しました。

2015年以降、パキスタンに拠点を置くカシミールの過激派組織は、自爆テロを活発化させました。2015年7月には、武装集団がグルダースプルの警察署を攻撃し、2016年1月には、パタンコート空軍基地が襲撃されました。同年9月には、ウリにあるインド陸軍の宿営地が襲撃され、19人の兵士が死亡する事件が発生しています。

攻撃の発生

2019年2月14日、ジャンムーからシュリーナガルへ向かう、2,500人以上のインド中央警察予備隊（CRPF）隊員を乗せた78台の車両からなる輸送船団が、国道44号線を走行していました。この輸送船団は、2日前の高速道路閉鎖の影響で交通量が多く、目的地への到着が遅れていました。

午後3時15分頃、アワンティポラに近いレアポラにおいて、爆発物を積んだ車両が、輸送船団のバスに突入し、爆発を引き起こしました。この攻撃により、第76大隊に所属する40人のCRPF隊員が死亡し、多数の負傷者が出ました。負傷者は、スリナガルの陸軍基地病院に搬送されました。

犯行声明とその後

パキスタンに拠点を置く過激派組織「ジャイシュ＝エ＝ムハンマド」が犯行声明を発表しました。同組織は、実行犯であるアディル・アフマド・ダールのビデオも公開しました。パキスタン政府は事件への関与を否定しましたが、ジャイシュ＝エ＝ムハンマドの指導者であるマスード・アズハルが同国内で活動していることは知られています。

事件後、インド空軍は報復として、第三次印パ戦争以来48年ぶりに管理ラインを越えてパキスタン領内への空爆を実施しました。この空爆は、両国間の緊張をさらに高めることとなりました。

この事件は、カシミール地方の不安定な情勢を改めて浮き彫りにするとともに、インドとパキスタンの関係に深刻な影響を与える出来事となりました。

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