ジャイシュ＝エ＝ムハンマド

ジャイシュ＝エ＝ムハンマドの概要

ジャイシュ＝エ＝ムハンマド（Jaish-e-Mohammed、略称：JeM）は、パキスタンに拠点を持つイスラム主義の過激派組織で、主にカシミール地方でのテロ活動を行っています。この組織は、インドからのカシミール分離を目的としており、特にジャンムー・カシミール州において活発に活動しています。2002年には、パキスタンのパルヴェーズ・ムシャラフ政権により非合法組織として指定されています。その名は「ムハンマドの軍隊」という意味を持ちます。

この組織の創設者であるマウラナ・マスード・アズハールは、1968年にパキスタンのバハーワルプルで生まれました。彼はカラチでイスラム原理主義組織に参加し、後にケニアやソマリアを訪れてイスラーム過激派との関係を築きました。

活動の歴史

1994年の逮捕

1994年、アズハールはハラカト＝ウル＝アンサール（HuA）内の2つの派閥の対立を仲裁するためにシュリーナガルに入りましたが、インドの治安当局に逮捕されました。HuAは過去にソビエト連邦軍のアフガニスタン進攻に対抗するために設立されたイスラム原理主義組織です。その後のHuJI（ハラカト＝ウル＝ジハード・アル＝イスラミー）やHuM（ハラカト＝ウル＝ムジャヒディーン）との関係を持ちながら、活動を続けました。

1999年のハイジャック事件

1999年12月、アズハールはインディアン航空814便がハイジャックされた事件に関与し、乗客の解放と引き換えにインド政府から釈放されました。この後、彼は新たにかつてのHuMのメンバーを集めて、より過激なジャイシュ＝エ＝ムハンマドを結成しました。その後、HuMは活動を縮小し、JeMがその後のテロ活動の中心となりました。

大規模なテロ活動

2001年12月には、JeMはラシュカレ・タイバと共にインド国会議事堂を襲撃しました。この攻撃は大きな衝撃を与え、多くの注目を集めました。以降もアメリカ人の誘拐などの事件を引き起こしました。

近年の事件

2016年、JeMはパタンコート空軍基地への襲撃を行い、治安部隊に犠牲者を出しました。同年9月には、ウリのインド陸軍宿営地を襲撃し、19人の兵士が死亡しました。

2019年には、自爆テロによるプルワマ襲撃事件が発生し、インド政府は報復として空爆を実施。この事件を契機にインドとパキスタンの関係が一層悪化しました。

結論

ジャイシュ＝エ＝ムハンマドはその過激な活動と数々のテロ事件により、国際的な注目を浴びているイスラム過激派組織であり、その存在は南アジア地域の安全保障に深刻な影響を及ぼしています。

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