2019年島根県知事選挙

2019年島根県知事選挙

2019年（平成31年）4月7日に執行された島根県知事を選出するための選挙です。第19回統一地方選挙の一環として行われ、無所属新人の丸山達也氏が激戦を制して当選しました。

選挙の背景

この選挙は、3期12年にわたり県政を担った現職の溝口善兵衛知事が任期満了をもって退任を表明したことに伴い実施されました。過去3回の知事選は、溝口氏と共産党の候補者による一騎打ちでしたが、現職の引退により、実に12年ぶりに新人候補者同士による選挙戦となりました。さらに、この選挙では自民党内で候補者の支援を巡る意見の対立が生じ、県選出の国会議員や党本部の意向と、一部の県議会議員の支持候補が異なるという異例の事態が発生しました。これは44年ぶりの「保守分裂選挙」として、大きな注目を集めることとなりました。

候補者と政党の動き

選挙には最終的に4名の候補者が立候補しました。

丸山 達也 氏（無所属新人）：元総務省官僚。自民党所属の県議会議員14名や、県議会の旧民主党・社民党系の会派から支持を受けました。
大庭 誠司 氏（無所属新人）：元消防庁次長。自民党本部および県連の推薦を得ました。
山崎 泰子 氏（無所属新人）：市民団体副代表。共産党は28年ぶりに独自候補の擁立を見送り、山崎氏を推薦しました。
島田 二郎 氏（無所属新人）：元安来市長。

公明党は特定の候補者を推薦せず、自主投票としました。

当初、元浜田市議会議員の森谷公昭氏も立候補を表明していましたが、告示日に届け出を行わず、同日執行の島根県議会議員選挙（浜田市選挙区）に出馬しましたが落選しています。

選挙データと主な争点

告示日: 2019年（平成31年）3月21日
執行日: 2019年（平成31年）4月7日
同日選挙: 島根県議会議員選挙
立候補者数: 4名

選挙戦の主な争点としては、深刻化する少子高齢化と人口減少への対策、地域経済の活性化、頻発する自然災害への対応を含む防災・減災策、そして島根原子力発電所2号機の再稼働問題などが挙げられました。各候補者はこれらの課題に対し、それぞれの政策や理念を提示して支持を訴えました。

選挙結果

2019年4月7日に投開票が行われました。最終的な投票率は62.04%で、前回2015年の59.56%を上回りました。当日有権者数は564,244人でした。

開票の結果、無所属新人の丸山達也氏が、自民党の推薦を受けた大庭誠司氏らを破り、初当選を果たしました。丸山氏は島根県外の出身者であり、公選制度が導入されて以降、島根県出身者以外の人物が知事に就任するのは初めてのことでした。事前の情勢予測では丸山氏と大庭氏が横一線で争う接戦が予想されていましたが、結果的には丸山氏が大庭氏に3万票以上の差をつけての勝利となりました。

ただし、丸山氏の得票数150,338票は、公選制度下における島根県知事選の当選者としては過去最低の得票数となりました。丸山氏は県内19市町村のうち15市町村で最多得票を獲得し、県全域で広く支持を得たことが勝因と分析されています。一方、敗れた大庭氏は江津市など3市町で丸山氏を上回る得票を得ましたが、無党派層が多いとされる出雲市などで差をつけられました。島田氏は地盤である安来市で他の候補者をリードしましたが、それ以外の地域では支持が広がりませんでした。山崎氏は県全体で支持が浸透しませんでした。

選挙後の影響

この知事選挙を巡る対応は、島根県議会の最大会派である「自民党議員連盟」に大きな影響を与えました。丸山達也知事を支援した県議ら16名と、対立候補を支援した県議ら10名の間で溝が深まり、選挙から約1ヶ月後の2019年5月8日には、対立候補を支援した側の10名が会派を離脱し、新たな会派「島根県議会自由民主党」を結成するという事態に至りました。これは、保守分裂選挙が選挙結果だけでなく、県議会における会派構成にも影響を及ぼしたことを示しています。

2019年の島根県知事選挙は、現職の引退、12年ぶりの新人同士の戦い、そして44年ぶりの保守分裂といった複数の要因が重なり、島根県の政治状況に新たな局面をもたらす選挙となりました。

もう一度検索