2019年相模原市長選挙

2019年相模原市長選挙

2019年（平成31年）4月7日、全国規模で行われた第19回統一地方選挙の枠組みの中で、神奈川県相模原市の市長選挙が執行されました。この選挙は、多選を目指す現職の市長に対し、政界での経験を持つ元国会議員や、市議会で活動してきた複数の議員が挑む構図となり、市民の関心を集めました。

選挙の概要

今回の相模原市長選挙は、以下の日程と同時に行われた選挙がありました。

告示日: 2019年（平成31年）3月24日（政令指定都市市長選挙として一斉に告示）
投開票日: 2019年（平成31年）4月7日
同日実施選挙:
神奈川県議会議員選挙
相模原市議会議員選挙
2019年神奈川県知事選挙

選挙の焦点

この選挙戦を通じて、特に重要視された政策課題は以下の点でした。

リニア中央新幹線新駅周辺の開発: 将来的なリニア駅設置に伴う新たな都市機能の整備や、その周辺地域の活性化策。
相模総合補給廠跡地の利用計画: 返還された米軍施設の広大な土地をどのように活用し、市の発展につなげるか。
現市政運営への評価: 長年市政を担ってきた現職市長の実績や取り組みに対する、市民による信任あるいは刷新の判断。

これらの論点に対して、各候補者は自身の考える解決策や市政の方向性を市民に訴えかけました。

立候補者の顔ぶれと動き

選挙に立候補したのは、現職の加山俊夫氏をはじめ、元衆議院議員の本村賢太郎氏、相模原市議会議員の八木大二郎氏、同じく市議会議員の宮崎雄一郎氏など複数名でした。立候補への動きは比較的早期から見られ、2018年5月1日には宮崎氏が、同年8月31日には現職の加山氏が4期目を目指すと表明。その後、9月10日に八木氏が、年が明けた2019年1月10日には本村氏がそれぞれ出馬会見を行いました。

また、当初は首都大学東京教授で市民運動にも関わる野元弘幸氏も2019年2月1日に立候補の意向を示していましたが、支援者からの要望もあり、告示直前の3月15日に立候補を取りやめるという経過もありました。

選挙戦の展開と結末

今回の相模原市長選挙は、特に保守系の支持層の間で票が割れる「事実上の保守分裂」として大きな特徴がありました。過去の選挙で、現職の加山氏は自民党、民主党、公明党といった主要政党の幅広い推薦を受けて当選を重ねてきました。しかし、この選挙では自民党の支持が一本化されず、複雑な構図となりました。自民党の多くの神奈川県議会議員や一部の相模原市議会議員は八木氏を支持する一方、自民党に籍を置く宮崎市議も独自の立場から立候補したことで、保守票が分散する形となりました。これにより、現職陣営はこれまでの選挙のような盤石な体制を築くことが難しくなりました。

これに対し、元民進党所属の国会議員であった本村候補は、特定の政党からの推薦を受けない「無党派」の旗印を掲げました。旧民進党支持層を固めつつ、既存政党への支持が薄い無党派層への浸透を図りました。また、保守分裂の状況を捉え、保守層の一部からも支持を得るための戦略を展開しました。

開票の結果、特定の政党推薦を受けずに選挙戦を戦った元衆議院議員の本村賢太郎氏が、他の候補者たちを抑え、見事初当選を果たしました。長年市政を担い、多党推薦で臨んだ現職の加山氏や、保守分裂の中で支持拡大を目指した他の候補者は、支持基盤を十分に固めることができませんでした。この選挙の結果は、有権者の多様な選択を示唆するものとなりました。

この選挙の投票状況は以下の通りです。

当日有権者数: 591,284人（男性 296,342人、女性 294,942人）
投票者数: 289,168人（男性 141,993人、女性 147,175人）
投票率: 48.91％
* 前回の市長選挙と比較して2.04ポイントの上昇が見られました。

本村氏が新たな相模原市長となったことで、市政はリニア新駅や補給廠跡地開発などの重要課題に対し、新しいリーダーシップの下で取り組むことになります。今回の選挙は、従来の政党主導ではない形の選挙戦が展開され、有権者の判断が直接的に結果に結びつく一例となりました。

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