相模総合補給廠

相模総合補給廠：歴史、環境問題、そして未来

相模総合補給廠は、神奈川県相模原市中央区に位置する在日アメリカ陸軍の重要な補給施設です。JR横浜線沿いの広大な敷地に、小銃や糧食、車両など、多岐にわたる軍需物資が保管されています。アメリカ軍の世界戦略を支えるこの施設は、かつては兵器の整備や、ベトナム戦争における物資供給でも重要な役割を果たしていました。

歴史と変遷

1945年、敗戦後の相模陸軍造兵廠跡地を接収して設立されました。その後、ベトナム戦争激化に伴い、70年代には基地反対運動が活発化。内ゲバや火災事故なども発生しました。近年では、2008年に敷地の西側の一部が日本に返還され、周辺地域の再開発に大きな期待が寄せられています。返還された土地では、スポーツ施設や公園の整備が進み、地域住民の生活環境の向上に貢献しています。また、返還過程では、不発弾処理など様々な課題も発生しました。2015年には倉庫からの爆発火災が発生するなど、安全面での課題も残されています。

施設と機能

アメリカ陸軍、空軍、海軍、海兵隊への物資供給を主な役割とするこの施設は、キャンプ座間、横浜ノース・ドック、横田飛行場と連携し、極東における重要な物流拠点として機能しています。敷地内には、陸軍事前集積貯蔵（APS-太平洋）を運用する部隊や、国防再利用販売事務所など、複数の部隊や組織が配置されています。かつては、戦車などの兵器整備施設やテストコースも存在していました。現在も、敷地内では、毎年マラソン大会が開催されるなど、地域住民との交流も図られています。しかし、関係者以外立ち入り禁止の鹿島神社など、一般開放されていない区域もあります。

環境問題

長年にわたり、廃棄物の保管や処理において環境問題が課題となっています。過去には、カドミウムやポリ塩化ビフェニル（PCB）の流出などが問題となり、地元住民との間で摩擦が生じてきました。PCBは一度アメリカへ搬出されたものの、受け入れ拒否され、最終的にウェーク島へ一時保管されるという事態が発生しました。これらの出来事は、日米関係だけでなく、地域社会との信頼関係構築の重要性を浮き彫りにしています。

再開発と未来

返還された土地は、相模原市の都市計画に大きな影響を与えています。相模原駅北口エリアの再開発が進み、公共施設や商業施設の整備が期待されています。リニア中央新幹線駅誘致構想なども検討されましたが、最終的には橋本駅への設置が決定しました。返還地の一部では、スポーツ・レクリエーションパークが整備され、地域住民の憩いの場となっています。今後、残りの返還地についても、地域社会のニーズを反映した開発が進むことが期待されます。

その他

敷地内には、かつて軍需物資輸送に使用されていた専用線が敷設されていました。現在は廃止され、線路跡の一部は住宅地の敷地内に残存しています。また、かつては座間NDBという航空保安無線施設もありましたが、2008年に廃局しています。

まとめ

相模総合補給廠は、長年にわたり、日米関係、地域社会、環境問題など、様々な側面で重要な役割を果たしてきた施設です。歴史的背景、環境問題への取り組み、そして将来の再開発計画などを理解することで、相模原市の発展と日米関係の未来を考える上で、この施設は重要な意味を持つと言えるでしょう。今後の動向にも注目が集まります。

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