2020年東京オリンピックの開会式

2020年東京オリンピック開会式

2020年東京オリンピックの開会式は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により1年延期され、2021年7月23日に東京のオリンピックスタジアム（国立競技場）で開催されました。当初の予定では2020年7月24日に行われる予定でしたが、パンデミックの影響で1年延期となりました。

式典の概要

開会式のコンセプトは「United by Emotion（感動で、私たちは一つになる）」でした。当初は観客を入れて開催する予定でしたが、東京都におけるCOVID-19の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受け、無観客での開催となりました。入場券は最高30万円、最低12,000円で販売されていましたが、観客は会場にいませんでした。また、選手入場の際のソーシャルディスタンス確保のため、当初の予定より時間がかかり、終了時間が23時30分にずれ込みました。聖火点火は23時47分に行われました。

開会式までの経緯

開会式の演出チームは、当初、野村萬斎氏と佐々木宏氏らが担当する予定でしたが、最終的には野村氏がアドバイザーとなり、総合演出は小林賢太郎氏が担当することになりました。しかし、小林氏が開幕前日に過去のホロコーストに関する問題発言で解任され、急遽、リオデジャネイロオリンピックの開会式でエグゼクティブプロデューサーを務めたマルコ・バリッチ氏と、ロンドンオリンピックの開会式でテクニカルディレクターを務めたピアース・シェパード氏が参加することになりました。

開会式当日には、航空自衛隊ブルーインパルスによる五輪の輪を描く模擬飛行が東京都庁上空で行われました。

プログラム構成

開会式は全9部構成で行われ、式典のアナウンスは日本語、英語、フランス語の3ヶ国語で実施されました。日本語アナウンスは関野浩之氏、英語アナウンスは東海林舞氏、フランス語アナウンスはジョルジュ・ヴェスィエール氏が担当しました。

オープニングパフォーマンス

第1章「WHERE THE STORIES BEGIN」: 芝生から芽が吹き出す映像から始まり、過去の五輪の映像や無人の都市の風景が映し出されました。その後、アスリートによるカウントダウンが行われ、1964年東京オリンピックのポスターをオマージュしたシーンが登場しました。
第2章「APART BUT NOT ALONE」: アスリートたちがランニングマシンでトレーニングする様子が映し出され、コロナ禍における不安や焦り、それでも前向きに進む選手たちの姿がダンスで表現されました。

国旗掲揚・国歌独唱

第3章「A WELCOME FROM THE HOST」: IOC会長や天皇陛下が入場した後、日本国旗が掲揚され、歌手のMISIAさんが国歌を独唱しました。
第4章「A LASTING LEGACY」: COVID-19で亡くなった人々やオリンピック期間中に亡くなった人々への追悼メッセージが読み上げられ、黙祷が捧げられました。その後、大工仕事をモチーフにしたパフォーマンスや、1964年東京オリンピック時に持ち寄られた植物の種から作られた木の輪が登場しました。

選手入場

第5章「HERE TOGETHER」: オーケストラのチューニング映像から、各競技のスタートの瞬間が映し出され、選手入場が始まりました。選手入場はオリンピックのスローガン「より速く、より高く、より強く、一緒に」の投影で終わり、選手、審判、コーチによるオリンピック宣誓が行われました。その後、ダイバーシティをテーマにしたパフォーマンスや、インテルによるドローンショー、そして「イマジン」の合唱が行われました。

開会宣言

第6章「PEACE THROUGH SPORT」: 大会組織委員会会長とIOC会長の挨拶の後、天皇陛下が開会宣言を述べました。この際、バッハ会長が天皇陛下に開会宣言を促したため、予定していた起立を促すアナウンスができず、菅総理や小池都知事らが宣言後に起立するという場面がありました。

オリンピック旗掲揚・オリンピック賛歌奉唱

オリンピック旗がオリンピアンによって運ばれた後、各地域を代表するエッセンシャルワーカーに引き継がれ、自衛官によって掲揚されました。オリンピック賛歌は、郡山高校と豊島岡女子学園高校の生徒による合唱で奉唱されました。

パフォーマンス後半

第7章「LET THE GAMES BEGIN」: なだぎ武さんや辻本耕志さんらによる寸劇を挟み、東京オリンピックのピクトグラムを表現するパフォーマンスが行われました。
第8章「TIME TO SHINE」: 劇団ひとりさんや荒川静香さんが出演する映像の後、市川海老蔵さんの歌舞伎と上原ひろみさんのジャズピアノによるコラボレーションが行われました。また、松平健さんが「マツケンサンバII」を披露しました。

聖火点火

* 第9章「HOPE LIGHTS OUR WAY」: 吉田沙保里さん、野村忠宏さん、長嶋茂雄さん、王貞治さん、松井秀喜さん、医療従事者、パラリンピック選手、そして東日本大震災の被災地の子供たちが聖火をリレーし、最終ランナーの大坂なおみさんが聖火台に点火しました。

選手入場について

選手団は、オリンピック発祥の地であるギリシャを先頭に、個人参加の難民選手団に続き、日本語の五十音順に入場しました。これは、オリンピック史上初の試みでした。

トラブル

開会式直前に、演出担当者の解任や出演者の辞退、一部選手団のマスク未着用入場など、様々なトラブルがありました。また、無観客開催にもかかわらず、会場周辺に多数の人が集まったことや、ボランティア用の弁当が大量に廃棄されたことも問題となりました。

主な出席者

開会式には、日本からは天皇陛下、菅総理、小池都知事などが出席したほか、海外からは多くの国家元首や政府代表が出席しました。また、国際オリンピック委員会や国連、WHOの代表も出席しました。

放送と視聴率

開会式の模様は、NHKやフジテレビなどのテレビ局で放送されました。NHK総合では、平均視聴率が56.4%を記録し、多くの人が開会式を視聴しました。IOCは、全世界で推定約6億人が視聴したと発表しました。


この開会式は、様々な困難を乗り越え、感動と希望を与えたオリンピックの幕開けとなりました。

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