2021年のテレビ (日本)

2021年の日本のテレビ業界は、前年に引き続き新型コロナウイルスの影響が続いたものの、延期されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催という歴史的な出来事があり、大きな変化と挑戦に満ちた一年となりました。

年明けは、箱根駅伝、全国高等学校サッカー選手権大会といったスポーツ中継や、各局のバラエティ特番で幕を開けました。日本テレビ系では長年続いた『元日はTOKIO×嵐』の後継企画が実施され、フジテレビ系『さんタク』が放送19回目にして初の生放送に挑むなど、恒例番組に新たな試みが見られました。一方、TBS系『関口宏の東京フレンドパーク』の新春特番がこの回をもって終了し、5年の歴史に幕を下ろしました。

春の番組改編期には、特に情報番組やバラエティ番組で大規模な動きがありました。長寿番組の終了が相次ぎ、フジテレビ系『情報プレゼンター とくダネ!』が22年、毎日放送『ちちんぷいぷい』が21年半、TBS系『あさチャン!』が7年半、日本テレビ系『メレンゲの気持ち』が25年、そして朝日放送テレビ制作・テレビ朝日系『パネルクイズ アタック25』が46年半の歴史に幕を下ろしました。これに代わり、TBS系『THE TIME,』や『ラヴィット!』、フジテレビ系『めざまし8』といった新情報番組がスタート。

人気番組のゴールデンタイム進出も目立ち、テレビ朝日系『家事ヤロウ!!!』やTBS系『バナナサンド』、朝日放送テレビ制作・テレビ朝日系『あなたの代わりに見てきます!リア突WEST』などが昇格しました。また、日本テレビ系では中京テレビ制作のグルメバラエティ『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』がレギュラー化されて好評を博し、フジテレビ系では『ダウンタウンなう』から派生した『人志松本の酒のツマミになる話』が独立番組としてスタートしました。

夏の主要な出来事としては、延期されていた東京オリンピック・パラリンピックが開催され、NHKと民放各局が連携して競技中継や関連番組を連日放送しました。大谷翔平選手の活躍など、国内外のスポーツイベントも多く中継され、視聴者の関心を集めました。

業界内の動きとしては、コロナ禍に対応した制作体制や、リモート出演の定着が見られました。また、メディアを横断したキャンペーンや共同プロジェクトも実施され、東日本大震災から10年の節目に関連する報道や、SDGs、防災に関する取り組みなどが展開されました。

著名なテレビ関係者や芸能人の訃報も相次ぎました。脚本家の橋田壽賀子、俳優の田中邦衛、笑福亭仁鶴、すぎやまこういち、柳家小三治、瀬戸内寂聴、二代目中村吉右衛門など、多くの文化人が亡くなり、追悼番組が放送されました。また、夏目三久アナウンサーの芸能界・放送界からの引退も大きな話題となりました。

番組制作や放送倫理に関わる問題もいくつか報じられました。フジテレビ系『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』での不適切演出や、日本テレビ系『スッキリ』でのアイヌ民族に関する不適切表現、テレビ朝日系『大下容子ワイド!スクランブル』での不適切演出などに対し、BPOや関係団体からの指摘や局側の謝罪が行われました。

その他、地方局の新社屋への移転やCI変更、キー局グループ内の再編、衛星放送事業者の外資規制違反問題などが報じられ、テレビ業界全体で構造的な変化と課題が浮き彫りになった一年でもありました。

秋の改編では、バラエティ番組の終了（日本テレビ系『有吉反省会』など）や、新番組の開始（テレビ朝日系『くりぃむナンタラ』『ウラ撮れちゃいました』、日本テレビ系『千鳥かまいたちアワー』、TBS系『100%!アピールちゃん』など）が見られました。年末にかけては、音楽特番や年末年始恒例のバラエティ特番が放送され、コロナ禍での新たなスタイルでの開催や、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』大晦日特番の休止と新番組への移行など、注目を集めました。

2021年は、コロナ禍という困難な状況下でも、オリンピック・パラリンピックという世界的イベントの中継や、番組の大型改編、技術的な挑戦など、テレビが社会の変化に対応し、視聴者に様々な情報を届けようと試みた一年と言えるでしょう。

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