2021年の台風

2021年の台風に関する詳細な記録

2021年に発生した台風は、太平洋北西部および南シナ海で発生した熱帯低気圧を指します。この年の台風に関するデータは、主に日本の気象庁の情報を基にしています。ただし、気象庁が熱帯低気圧として扱わなかった一部の事例については、合同台風警報センター（JTWC）のデータに基づいています。

2021年の台風の発生状況

2021年の台風発生数は22個で、平均発生数25.1個を下回りました。日本への接近数も9個と、平均11.7個より少なくなっています。一方、日本への上陸数は3個で、平均値と一致しました。特筆すべき点として、2020年に続き、2年連続で台風が暴風域を伴ったまま日本に上陸することはなく、これは統計史上初の出来事です。また、2020年には南シナ海へ進む台風が多かったのに対し、2021年は北上する台風も多く、進路が分散する傾向が見られました。

台風発生の時期

2021年最初の台風1号は2月18日に発生しました。2月の台風発生数は平年値で0.1個と、年間で最も発生しにくい時期ですが、過去10年間で2月に5つの台風が発生しており、2年に1つのペースで発生しています。4月14日に発生した台風2号は、急速に発達して猛烈な勢力にまで成長し、4月としては初めて900hPaを下回る895hPaを記録しました。また、最大風速も統計史上5番目の強さとなりました。

7月後半からは台風の活動が活発化し、7月19日から22日にかけては台風6号と7号、8月5日から8日にかけては台風9号、10号、11号が同時に発生するトリプル台風となりました。さらに、2016年以来5年ぶりに台風10号と11号の発生順序が逆転する現象も発生しました。

災害対策基本法の改正と台風の影響

2021年5月20日には、改正災害対策基本法が施行され、避難勧告が廃止され、避難指示に一本化されました。レベル5には、「緊急安全確保」が導入され、災害発生の切迫した状況で発令されることになりました。8月4日に発生した台風9号では、九州地方に上陸し、「緊急安全確保」が発表された地域が多くありました。また、この台風後、九州地方を中心に線状降水帯が発生し、甚大な被害をもたらしました。

越境台風とその他の特徴的な台風

台風12号は、熱帯低気圧が中央太平洋から越境して発生しましたが、2018年以降、越境台風の発生はありません。10月以降は台風の発生ペースは落ちたものの、台風21号や22号のようにカテゴリー5に発達する台風も出現しました。特に12月に発生した台風22号は、フィリピン南部を通過し、大きな被害をもたらしました。

この年、台風8号が統計史上初めて宮城県に上陸し、台風14号が統計史上初めて福岡県に上陸するなど、上陸地点においても特異な記録が生まれました。また、2011年以来10年ぶりに「台風23号」が発生しなかった年となりました。

月別の台風発生数

詳細な月別発生数については、後述のデータをご参照ください。

日本への接近数：9個（2号、3号、5号、6号、10号、12号、16号、20号、21号）
日本への上陸数：3個（8号、9号、14号）

各台風の詳細な活動時期と特徴

以下に、各台風の活動時期、特徴、および詳細情報を記載します。

台風1号（ドゥージェン）

発生日：2月18日
フィリピン名：アウリング（Auring）
合同台風警報センター番号：01W
アジア名：ドゥージェン（Dujuan、ツツジの意味）
2月22日に熱帯低気圧に変化し、2月23日に消滅。

台風2号（スリゲ）

発生日：4月14日
フィリピン名：バイシング（Bising）
合同台風警報センター番号：02W
アジア名：スリゲ（Surigae、鷲の名前の意味）
急速に発達し、4月として初の900hPa未満を記録。最大風速も統計史上5番目に強い。
4月25日に温帯低気圧に変化し、4月26日に域外へ。

台風3号（チョーイワン）

発生日：5月31日
フィリピン名：ダンテ（Dante）
合同台風警報センター番号：04W
アジア名：チョーイワン（Choi-wan、彩雲の意味）
当初の進路予測と異なり、フィリピンに上陸後、南シナ海へ。6月5日に温帯低気圧に変化。

台風4号（コグマ）

発生日：6月12日
合同台風警報センター番号：05W
アジア名：コグマ（koguma、こぐま座の意味）
ベトナムに上陸後、6月13日に熱帯低気圧に変化、消滅。

台風5号（チャンパー）

発生日：6月23日
合同台風警報センター番号：06W
アジア名：チャンパー（Champi、赤いジャスミンの意味）
小笠原諸島に接近後、温帯低気圧に変化し、6月29日に消滅。

台風6号（インファ）

発生日：7月16日
合同台風警報センター番号：09W
アジア名：インファ（in-fa、花火の意味）
沖縄県に接近し、宮古島付近で停滞。その後、中国大陸に上陸し、熱帯低気圧に変化。

台風7号（チャンパカ）

発生日：7月19日
合同台風警報センター番号：10W
アジア名：チャンパカ（Cempaka、ハーブの名前の意味）
台風6号の発生直後に発生。華南で熱帯低気圧に変化し、消滅。

台風8号（ニパルタック）

発生日：7月23日
合同台風警報センター番号：11W
アジア名：ニパルタック（Nepartak、戦士の名前の意味）
宮城県に観測史上初の上陸。珍しい進路を辿り、関東地方、東北地方に影響。
東京オリンピックの期間中に上陸。

台風9号（ルピート）

発生日：8月4日
合同台風警報センター番号：13W
アジア名：ルピート（Lupit、冷酷なの意味）
九州地方に上陸後、中国地方に再上陸し温帯低気圧に変化。各地で大雨や強風の被害。「緊急安全確保」が発表された。

台風10号（ミリネ）

発生日：8月5日
合同台風警報センター番号：14W
アジア名：ミリネ（Mirinae、天の川の意味）
日本の南を東に進み、関東に接近後、温帯低気圧に変化。

台風11号（ニーダ）

発生日：8月4日
合同台風警報センター番号：15W
アジア名：ニーダ（Nida）
台風10号よりも先に発生したことが確定。

台風12号（オーマイス）

発生日: 8月20日
合同台風警報センター番号：16W
アジア名：オーマイス（Omais）
中央太平洋から越境し発生。先島諸島に接近後、日本海で温帯低気圧に変化。

台風13号（コンソン）

発生日：9月6日
合同台風警報センター番号：18W
フィリピン名：ジョリーナ
アジア名：コンソン（Conson、コンソン島の名）
フィリピン通過後、南シナ海で熱帯低気圧に変化。

台風14号（チャンスー）

発生日：9月7日
合同台風警報センター番号：19W
フィリピン名：キコ
アジア名：チャンスー（Chanthu、花の名）
福岡県に観測史上初の上陸。複雑な進路を辿り、瀬戸内海、愛媛県、和歌山県にも上陸。

台風15号（ディアンムー）

発生日：9月23日
合同台風警報センター番号：21W
アジア名：ディアンムー（Dianmu）
ラオスに上陸後、熱帯低気圧に変化。

台風16号（ミンドゥル）

発生日：9月22日
合同台風警報センター番号：20W
アジア名：ミンドゥル（Mindulle）
猛烈な勢力に発達し、八丈島に接近。関東沿岸を通過後、温帯低気圧に変化。
東京湾で気象津波が観測された。

台風17号（ライオンロック）

発生日：10月8日
合同台風警報センター番号：22W
アジア名：ライオンロック（Lionrock）
ベトナム付近で熱帯低気圧に変化し消滅。

台風18号（コンパス）

発生日：10月8日
合同台風警報センター番号：24W
フィリピン名: マリン
アジア名：コンパス（Kompasu）
超大型の台風として発生。ベトナムで熱帯低気圧に変化。

台風19号（ナムセーウン）

発生日：10月10日
合同台風警報センター番号：23W
アジア名：ナムセーウン（Namtheun）
暴風域は発生せず、日本の東で温帯低気圧に変化。

台風20号（マーロウ）

発生日：10月25日
合同台風警報センター番号：25W
アジア名：マーロウ（Malou）
日本の東で温帯低気圧に変化。

台風21号（ニヤトー）

発生日：11月30日
合同台風警報センター番号：27W
アジア名：ニヤトー（nyatoh）
小笠原諸島に接近後、急速に衰退し熱帯低気圧に変化。

台風22号（ライ）

発生日：12月13日
合同台風警報センター番号：29W
フィリピン名:オデット
アジア名：ライ（Rai）
12月としては珍しく猛烈な勢力に発達し、フィリピン南部を横断。

気象庁が「台風」に分類しなかった熱帯低気圧

気象庁が台風として分類しなかった熱帯低気圧も多数存在します。これらの熱帯低気圧には合同台風警報センター（JTWC）によって熱帯低気圧番号が付与されています。主な例として、1月20日に発生したJMA TD 01、3月14日に発生したJMA TD 03などがあります。また、フィリピン大気地球物理天文局（PAGASA）がフィリピン名を命名した熱帯低気圧も存在します。

その他の情報

各台風の活動時期や詳細な情報については、気象庁のウェブサイトや関連機関の情報を参照してください。

この記録は、2021年の台風に関する包括的な概要を提供することを目的としています。台風の進路、発達状況、影響など、様々な側面から分析することで、今後の災害対策や気象予測に役立てることができます。

注意: この記録は、現時点での情報に基づいて作成されており、今後の研究や新たなデータにより変更される可能性があります。

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