2024年パリオリンピックのローイング競技

2024年パリオリンピック ローイング競技

2024年の夏季オリンピックはフランスのパリで開催されましたが、ローイング競技はパリからやや離れたセーヌ＝エ＝マルヌ県のヴェール・シュル・マルヌに新設されたノーティカル・スタジアムで行われました。競技期間は2024年7月27日から8月3日まででした。

この大会における競技名称は、過去のオリンピックで一般的に使われてきた「ボート競技」ではなく、「ローイング競技」として実施されました。これは、国際的な競技統括団体であるWorld Rowingがその名称を「ローイング」に統一したことに伴う変更です。日本国内においても、日本ボート協会が日本ローイング協会へと改称し、2024年4月に発効した競漕規則においても正式名称が「ローイング」となりました。これは、単に国際的な呼称に合わせただけでなく、国内で「ボートレース（競艇）」との混同を避ける意図も含まれています。

実施された種目は、前回のオリンピックと同様に、男女それぞれ7種目、合計14種目です。具体的な種目としては、一人乗りのシングルスカル、二人乗りのペア（オール1本ずつ）とダブルスカル（オール2本ずつ）、体重制限のある軽量級ダブルスカル、四人乗りのフォア（オール1本ずつ）とクオドルプルスカル（オール2本ずつ）、そして八人乗りのエイトがあります。これらの種目で、各国のアスリートたちが競い合いました。

オリンピックへの出場資格を得るための道のりは複数あります。最も多くの出場枠が決まるのは、オリンピックの前年、具体的には2023年にセルビアのベオグラードで開催された世界選手権です。この大会で各種目の上位に入賞した選手やチームに、多くの出場枠が与えられました。世界選手権で獲得できる枠数は、シングルスカルが男女ともに9名分、ペアとダブルスカルがそれぞれ男女ともに11組分、軽量級ダブルスカル、フォア、クオドルプルスカルはそれぞれ男女ともに7チーム分、エイトは男女ともに5チーム分が割り当てられました。

世界選手権で十分な出場枠を得られなかった国や地域のために、その後も出場機会が設けられました。一つは大陸予選です。これは、世界選手権で2つ未満の出場枠しか得られなかった国を対象に行われ、シングルスカル（男女合計18名分）と軽量級ダブルスカル（男女合計7組分）の出場権が得られます。アジア・オセアニア予選は韓国の忠州、アメリカ予選はブラジルのリオデジャネイロ、ヨーロッパ予選はハンガリーのセゲド、アフリカ予選はチュニジアのチュニスと、各地で開催されました。

さらに、2024年5月にはスイスのルツェルンで世界最終予選が開催されました。この予選は全種目を対象とし、各種目につき上位2チームに追加の出場枠が与えられました。まさにオリンピック出場に向けた最後の戦いとなりました。

これらの予選ルートの他に、シングルスカルには特別な出場枠も存在します。一つはユニバーサリティ枠で、これはオリンピック憲章の原則に基づき、競技の普及や多様性を促進するために設けられたものです。男女それぞれ2名分がこの枠で出場しました。また、開催国であるフランスには開催国枠として男女それぞれ1名分が設けられましたが、これは予選を通じてどの種目でも出場権を得られなかった場合に適用される枠でした。

競技は、全日程を通して毎日午前9時（中央ヨーロッパ夏時間、UTC+2）に開始されました。ヴェール・シュル・マルヌの会場で、世界中から集まったローイング選手たちが、熱いレースを展開しました。

もう一度検索