セゲド

セゲド：ハンガリー南部の歴史と文化が息づく都市

セゲドは、ハンガリー南部に位置するチョングラード県の県都であり、ハンガリー大平原南部最大の都市として知られています。ティサ川とマロシュ川の合流地点に位置し、その地理的な特性から「突起」を意味するハンガリー語の「セグ」に由来するとされています。多様な文化が交錯するこの街は、歴史的な出来事を経ながらも、常に地域の中心としての役割を果たしてきました。

地理

セゲドは、首都ブダペストから南東へ約160km、セルビアとの国境に近い場所に位置しています。ティサ川の恵みを受けた肥沃な沖積平野に広がっており、日照時間が長い気候を利用したパプリカ栽培が盛んです。また、地下から湧き出る温泉は、地元の人々にとって貴重な資源となっています。

歴史

セゲドは、古くからティサ川の渡河地として重要な役割を果たしてきました。石器時代から人類が居住し、紀元前7世紀から8世紀にはイリュリア人、その後ケルト人が住み着きました。ローマ帝国の支配下に入った後、5世紀にはフン族の侵入を受けました。ハンガリー王国成立後は、塩の集積地として繁栄し、ティサ川の水運を利用してトランシルヴァニアから塩が運ばれました。13世紀には都市特権が付与され、塩の貯蔵と出荷の中心地として「金色憲章」にもその名が記されています。中世には、塩の運搬に関わる産業や漁業、農業、牧畜も盛んに行われ、町の経済を支えました。

16世紀から17世紀にかけてはオスマン帝国の支配下に置かれましたが、地域の中核都市としての地位を保ちました。1848年から1849年のハンガリー独立運動では、臨時政府が置かれました。19世紀にはインフラ整備が進みましたが、1879年の大洪水で大きな被害を受けました。しかし、国内外の支援を受けて迅速な復興を遂げ、治水事業が進められました。

20世紀には、第一次世界大戦後にフランス軍やセルビア軍に占領された時期もありましたが、その後反革命運動や解放運動の拠点となりました。第二次世界大戦後にはソ連軍が駐屯しました。

経済

セゲドは、周辺地域の農産物の集積地として、重要な役割を果たしています。パプリカ加工をはじめとする食品工業、繊維工業、機械工業が盛んで、ハンガリー初のサラミが作られた地としても知られています。特に、ハンガリーを代表する食肉加工会社ピック社は、セゲドに本社を構えています。

建築物と文化

セゲドの中心はセーチェーニ広場であり、そこからドーム広場へ向かう道には、多くの観光名所が点在しています。誓約教会は、セゲドを代表する建築物であり、ヨーロッパで2番目に大きなオルガンが設置されています。また、ドーム広場の裏手にはセルビア正教会の教会があり、イコンが収蔵されています。広場周辺の回廊には、20世紀のハンガリーの彫刻家によって制作された偉人の彫刻やレリーフが展示されています。

1933年から開催されている野外フェスティバルは、セゲドの文化を象徴するイベントであり、国内外の劇団による演劇、オペラ、民族舞踊が上演されています。

教育

セゲドは大学都市としても知られ、セゲド大学は1872年に創立されました。ノーベル賞受賞者のセント＝ジェルジ・アルベルトが学長を務めたことでも知られています。セーチェーニ広場の東には、教育文化会館があり、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したハンガリーの芸術家の作品が展示されています。

交通

セゲドは、ブダペストやケチケメートと鉄道や長距離バスで結ばれており、交通の要衝としての役割も担っています。

セゲド出身の著名人

セゲドは多くの著名人を輩出しており、ハンガリー大統領のノヴァーク・カタリンやハンマー投げ選手のアドリアン・アヌシュなどがいます。映画監督のヴィルモス・スィグモンド、映画評論家のバラージュ・ベーラ、外交官のチャバ・コロシもセゲド出身です。

セゲドは、歴史、文化、経済が調和した魅力的な都市であり、ハンガリーの主要都市の一つとして重要な役割を果たし続けています。

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