2024年東京 E-Prix

2024年東京E-Prix：日本初の本格的公道フォーミュラEレース

2024年3月30日、東京ストリートサーキット（東京ビッグサイト周辺）で、2023-24年フォーミュラE世界選手権第5戦、2024年東京E-Prixが開催されました。このレースは、日本における市街地公道を用いた本格的な自動車レースとしては初の開催となり、大きな注目を集めました。

10年の悲願達成と歴史的意義

フォーミュラEは、世界各都市で市街地レースを開催しており、東京での開催はシリーズ開始以来の悲願でした。東京都とフォーミュラE社の交渉は2012年から始まり、10年以上の歳月を経て実現した歴史的なイベントとなりました。

東京での本格的な自動車レース開催は、1934年以来、実に90年ぶり。ソーラーカーレースやカートレースといった先行事例はありましたが、世界選手権レベルのレーシングカーによる本格的な公道サーキットレースは、日本初となります。この点は、レースの意義を語る上で重要な要素です。

驚きの首相来場と日本の自動車メーカーの動き

決勝レース直前には、岸田文雄首相がサプライズで会場を訪問。東京都知事の小池百合子氏、フォーミュラE関係者と共にスタートセレモニーに出席しました。この出来事は、モータースポーツに対する政府の関心の高さを示すものでした。

レース開催を機に、日本の自動車メーカー2社がフォーミュラEへの関与を強化しました。日産自動車は2030年までの参戦継続を発表し、ヤマハ発動機はローラ・カーズとのパワートレイン開発契約を締結。日本の自動車産業の技術力と国際的なモータースポーツへの関与を印象付ける出来事となりました。

多くの日本のモータースポーツ関係者も来場し、高い関心の高さを示しました。日産関係者だけでなく、佐藤琢磨氏、山本左近氏、ホンダ・レーシングの渡辺康治社長、角田裕毅選手など、様々な分野の著名人が会場に訪れました。

関係者からの高い評価

関係者からは、このレース開催の意義を高く評価する声が多数聞かれました。鈴木亜久里氏は、日本のレース界にとって大きな意味を持つと語り、佐藤琢磨氏も未来への影響を期待しました。山本左近氏はレース展開の盛り上がりにも触れ、好意的な評価を与えています。岸田首相の来場についても、モータースポーツへの社会的な認知度向上に繋がるとの意見がありました。

コースレイアウトについては、ドライバーからは概ね好評でしたが、特にターン2と3の間の急な下り勾配による「ジャンプ台」は、改善が必要との指摘がありました。この箇所では、車両が大きくジャンプし、着地時の衝撃がドライバーと車体に大きな負荷を与えていました。

円滑な開催運営とチケット販売

レース運営はフォーミュラE・オペレーションズ社が担当し、約270名の事務局スタッフとチーム関係者を含めると1850名もの関係者が来日。スポーツ庁の協力のもと、査証の発給も円滑に進められました。

マーシャルスタッフ約300名は、JAF公認クラブであるVICICを中心とした有志が務め、WRCラリージャパンでの感電対策の経験が活かされました。レーススチュワードには、鈴木亜久里氏が参加しました。

チケットは先行販売分で抽選が行われ、一般販売分は瞬く間に完売。追加販売分もすぐに売り切れとなり、需要の大きさを示しました。チケットを入手できなかったファンへの救済措置として、ファンビレッジを無料開放し、ライブビューイングなどを提供しました。結果、無料エリアを含めて約2万人が来場しました。

レース展開と結果

予選では、予想外の「ジャンプ台」が多くのドライバーを苦しめました。サッシャ・フェネストラズ選手はクラッシュとジャンプ台の被害で後方スタートを余儀なくされました。

デュエル方式の予選では、エドアルド・モルタラ選手が好成績を残し、オリバー・ローランド選手がポールポジションを獲得しました。決勝レースは、激しいトップ争いが展開され、アクティベーションゾーンでのアタックモード使用やセーフティカー導入など、様々な展開がありました。最終的に、マクシミリアン・ギュンター選手が僅差で優勝を飾りました。エドアルド・モルタラ選手は失格となりました。

このレースは、日本のモータースポーツ界に大きなインパクトを与え、今後の発展に繋がる重要な一歩となったと言えるでしょう。

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