21ブリッジ

映画『21ブリッジ』について

2019年に公開されたアメリカ合衆国のアクション・スリラー映画『21ブリッジ』（原題: 21 Bridges）は、ブライアン・カークが監督を務め、主演にチャドウィック・ボーズマンを迎えた作品です。ニューヨークという大都市を舞台に、逃走中の強盗殺人犯を捕縛するため、革新的な大規模作戦が展開される物語です。マンハッタン島を封鎖するという大胆な設定が、観客を引き込む要素となっています。

ストーリー概要

物語は、裏社会の仕事に手を染める元軍人のマイケル・トルヒーヨとレイ・ジャクソンの二人組が、あるワイナリーからコカインを強奪する依頼を受けることから始まります。しかし、現場に到着した彼らは、事前の情報とは比較にならないほどの大量のコカインが保管されていることに気づきます。この異常な状況に戸惑う間もなく、警察官たちが突入。激しい銃撃戦となり、レイが複数の警官を殺害してしまいます。予期せぬ事態に怒りを露わにするマイケルでしたが、二人はその場からの逃走を選択せざるを得ませんでした。

ニューヨーク市警は、この警官殺害事件の捜査を、アンドレ・デイビス刑事に託します。アンドレは、かつて警官を殺害した犯人を射殺したことで「警官殺しの処刑人」という異名を持つ優秀な刑事でしたが、本人はその行動が正義感や復讐心からではなく、やむを得ない状況だったと考えていました。彼は、偉大な警察官だった父の功績に追いつこうと日々努力を重ねていました。

捜査責任者となったアンドレは、市警85分署署長のマッケナ警部の指示により、同署麻薬取締班のフランキー・バーンズ刑事とチームを組みます。捜査を開始した矢先、突如FBI捜査官が介入してきます。捜査のペースを乱されながらも、アンドレとフランキーは市当局、FBI、そして警察の協力を得て、大胆な作戦を決行することを決定します。それは、翌朝午前5時までマンハッタン島への全ての出入りを遮断するため、島に架かる21本の橋全てを封鎖するという前代未聞の試みでした。

その頃、逃走を続けるマイケルとレイは、連絡役のブッシュを脅し、依頼主であるホークと接触します。ホークから、高額な資金洗浄を請け負うアディを紹介された二人は、アディのアジトへ向かい、逃走資金と偽の身分証明書を手に入れようとします。アディは彼らの要求に応じますが、「明朝、マイアミへ発て」と指示します。一方、アンドレたちの捜査線上に浮上したブッシュは、追跡してきた85分署のバッチコ刑事らによって射殺されてしまいます。現場に駆けつけたアンドレは、バッチコ刑事が自身の銃をブッシュの傍に置くことで、正当防衛を偽装しようとしたことを見抜きます。

その後まもなく、アディの自宅がケリー警部補率いるチームによって特定されたという一報がアンドレの元に届きます。しかし、事件解決に向けて捜査があまりにも順調に進みすぎていることに、アンドレは不審な思いを抱き始めます。マンハッタン封鎖という時間制限の中で、刑事と強盗犯、そして事件の背後に隠された陰謀が交錯していくことになります。

主なキャスト

アンドレ・デイビス刑事：チャドウィック・ボーズマン
ニューヨーク市警殺人課の刑事。「警官殺しの処刑人」と呼ばれるが、自身の正義感に従う。
フランキー・バーンズ刑事：シエナ・ミラー
85分署麻薬取締班の刑事。シングルマザーで、アンドレとタッグを組む。
マット・マッケナ警部：J・K・シモンズ
85分署の署長。アンドレに事件解決を依頼し、フランキーを相棒とする。
マイケル・トルヒーヨ：ステファン・ジェームス
頭脳明晰な元軍人の強盗犯。
* レイモンド・“レイ”・ジャクソン：テイラー・キッチュ
銃の扱いに長けた元軍人の強盗犯。マイケルの相棒。

製作背景と公開

本作は、当初『17 Bridges』というタイトルで企画が進められ、2018年7月にチャドウィック・ボーズマンの出演が報じられました。同年9月に主要撮影が開始され、J・K・シモンズやシエナ・ミラーらがキャストに加わりました。製作中にタイトルが『21 Bridges』に変更され、2019年4月にはポスターと予告編が公開されました。全米公開は当初2019年7月を予定していましたが、後に9月、さらに11月へと延期され、最終的に同年11月22日に封切られました。

興行成績と評価

全米公開初週末には約925万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキングで4位となりました。

批評家からの評価は分かれました。映画批評集積サイトRotten Tomatoesでは、138件のレビューに基づき支持率54%と、平均的な評価に留まりました。Metacriticでは、32件のレビューの加重平均値が51/100となり、「賛否混在」の評価が中心でした。Rotten Tomatoesの総評では、優れた俳優陣にもかかわらず、作品の魅力が十分に引き出されていない可能性が指摘されています。一方で、観客からは比較的肯定的に受け止められており、CinemaScoreでは「B+」を獲得しました。

『21ブリッジ』は、独創的な封鎖作戦という設定のもと、一人の刑事が巨大な事件の真相に迫る姿を描いた、緊張感あふれるアクション・スリラーとして位置づけられる作品です。

もう一度検索