27号族

サラブレッドの血統において、牝系（母系）は重要な要素の一つです。数多くの名馬を生み出してきた牝系は、その一族全体に大きな影響を与えます。27号族は、サラブレッドの牝系一族の一つであり、その歴史は古く、18世紀のイギリスまで遡ります。始祖はスパンカー・メアという牝馬です。

27号族は、他の強力な牝系と比べると、クラシック競走における勝利数は決して多くありません。ダービーステークス優勝馬はフォスフォルス（1837年）ただ1頭のみ。2000ギニー優勝馬2頭、1000ギニー優勝馬3頭、セントレジャーステークス優勝馬1頭という実績にとどまります。しかし、その系譜には、18世紀イギリスの名馬エスケープや、第二次世界大戦下のフランスで活躍した名馬Biribiといった、時代を彩った名馬たちが含まれています。

1825年生まれの牝馬ケアを起点とする系統は、27-a分枝として分類されています。19世紀以降、27号族を代表する競走馬の多くがこの27-a分枝から生まれています。この系統からは、アダムズアップル（2000ギニー優勝馬）のようなクラシック競走の勝ち馬も輩出されています。さらに、フランスの凱旋門賞優勝馬ブラントーム、アメリカの殿堂入りを果たしたアルサブ、ソビエト連邦で活躍したアニリンといった、世界的に名高い競走馬たちが、この27-a分枝にその血統をたどります。

日本においても、27号族、特に27-a分枝の血統は重要な位置を占めています。1920年代に日本に輸入された名種牡馬トウルヌソルは、この系統に属します。その子孫には、天皇賞（春）を制覇したヒカルポーラや、有馬記念などの重賞競走を勝利したカブトシローなどがおり、日本競馬史に名を残す名馬たちが、27号族の血を受け継いでいます。

このように、27号族はクラシック競走での圧倒的な勝利数を誇る系統ではありませんが、その歴史は長く、世界各地で活躍した名馬たちを輩出してきた、重要なサラブレッドの牝系一族と言えるでしょう。その血統は、現代においても、競走馬の血統改良に大きな影響を与え続けています。27号族の系譜をたどることは、サラブレッドの歴史を理解する上で、欠かせない要素の一つです。特に27-a分枝は、その後の27号族の繁栄に大きく貢献し、世界中の競馬界にその名を知らしめる多くの名馬を生み出した、重要な分枝であると言えるでしょう。今後も、27号族、そして27-a分枝から、新たな名馬が誕生することを期待したいところです。

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