282高地の戦い

282高地の戦い：朝鮮戦争における悲劇

282高地の戦いは、朝鮮戦争中に発生した戦闘の一つであり、1950年9月23日にイギリス陸軍第27英連邦旅団のアーガイル・アンド・サザーランド・ハイランダーズ連隊第1大隊が、洛東江への攻勢の一環として282高地を攻撃した際に起きました。

戦闘の開始

9月22日、第1大隊は星州郡近郊の282高地へ向けて前進を開始しました。翌23日の未明、B中隊とC中隊は高地を奇襲し、朝食中の北朝鮮軍部隊を制圧して頂上を確保しました。しかし、282高地から南西に約1マイル離れた場所には、北朝鮮軍が依然として支配する標高388高地が存在しました。C中隊は388高地の確保を目指して前進を開始しました。

北朝鮮軍の反撃

一方、388高地を守備していた北朝鮮軍は、282高地を奪還しようと動き出しました。北朝鮮軍は砲撃や迫撃砲を用いてイギリス軍に攻撃を開始し、その規模は朝を通じて増大しました。正午直前、アメリカ軍の砲撃支援が拒否され、さらに援護を予定していたアメリカ軍戦車隊も地形の問題で前進が不可能となりました。そのため、第1大隊は388高地への空爆を要請しました。

誤爆による悲劇

正午過ぎ、3機のF-51マスタング攻撃機が上空に到着し、282高地のイギリス軍は味方識別用の白いパネルを設置しました。しかし、388高地の北朝鮮軍も同様に白いパネルを設置したため、現場は混乱状態に陥りました。戦術航空管制班のラドクリフ大尉は、マスタングとの通信を確立できませんでした。そして12時15分、マスタングは誤ってイギリス兵の頭上にナパーム弾を投下し、さらに50口径機関銃で掃射しました。

この誤爆は2分間続き、兵士たちはナパームの炎から逃れるために急斜面を転げ落ちました。このとき、旅団長副官のケネス・ミューア少佐は、頂上に取り残された兵士たちを救出するため、約30人の兵士とともに高地を再攻撃しました。頂上でミューア少佐は迫撃砲班の指揮中に銃撃を受け戦死しました。ミューア少佐の最後の言葉は、「グック共がアーガイルの兵士をこの高地から追い出すことはないだろう」でした。

戦闘の終結

しかし、戦況は絶望的でした。戦闘可能な兵士はわずか10人に減少し、そのうち数名は負傷していました。彼らの手元には3丁のブレン軽機関銃とわずかな弾薬しか残っていませんでした。午後3時、生き残ったイギリス兵は徒歩で高地から撤退しました。

戦闘の結果と影響

翌日の集計によると、この戦闘で将校2名、下士官兵11名が戦死、将校4名、下士官兵70名が負傷、下士官兵2名が行方不明となり、合計89名の死傷者が出ました。このうち、約60名は誤爆による犠牲者とされています。この戦いは、誤爆によって多くの犠牲者を出す悲劇となりましたが、兵士たちの勇敢な行動も記録に残る戦いとなりました。

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